院長のコラム

お疲れ様でした。

内視鏡検査後の慣用句  
内視鏡室には、こんな素敵な絵が飾られています。
とても癒やされる絵画です。
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当クリニックは、来年の二月をもって十年を迎える。長いようで短かった、険しいようで平坦だった、曲がりくねったようで意外と真っ直ぐだった、失敗と挫折、成功と失敗、笑いあり涙あり、悲喜こもごも波乱万丈の九年半だった、過ぎ去った現在、「良い時間を過ごすことが出来た。」と素直に思える。この経験から学んだことをクリニックスタッフはもちろんのこと、機会があれば介護事業所スタッフにも直接伝えるようにしている。そのモットーは、「目配り・気配り・足配り、そして最後に声掛け」である。「思っても(考えても)実行しなければ意味が無い。」僕の人生論の一つである。

自分の専門と患者さんのニーズを意識したのは確か開業三年目頃だったと思う。何時になく忙しいなと感じたとある日の朝、慌ただしさの中、直ぐに診てくれと訴える風邪ひきの新規受診者と、今日検査をしてくれるなら何時間でも待つという内視鏡希望患者が同時刻に来院した。後者の希望を叶えるのは至極簡単だ。しかし、予約もなく忙しいさなか風邪ひき患者を直ぐに診るのは困難である。思案の挙句、「三十分ほど待ってもらえるなら診ます。」とスタッフを介して伝えたところ、その患者さんはあっという間に帰って行った。この瞬間、腑に落ちた、自分の役割が。日を経るごとに、そんな対応が増えて行った。とともに、いつしか、風邪・インフルエンザ・急性胃腸炎、季節的に流行する疾患患者が見る見るうちに減って行った。反比例するかのように検査件数が増えていった。

細心の注意を払って内視鏡検査をしているつもりでも、生体に管を強制的に挿入する苦痛を強いる検査である。少しでも楽に検査が出来るよう鎮静剤を用いている。静脈麻酔を用いれば、「全く覚えていません、検査したんですか?」「思っていた以上に楽でした。これなら次回も受けられます。」「少ししんどかったけれども我慢できました。」と好意的な答えがほとんどである。「しんどかったです。今度はもっともっと眠らせてください。」の返答も稀にある。自分が検査を受けた際には意識は断片的であった。反射的にえずいている(おえっとなる)ことは自覚していたが、苦痛なく検査を受けられた。その際、助けられたのは内視鏡医の声掛けである。「今から胃に入って行きます。もう少しで検査が終わりますよ。」些細な言葉であるが、朦朧とした意識の中で不安は払拭された。だから、検査が始まれば出来ることはただ一つ、ひたすら声かけである。

「◯◯さん、お疲れ様(でした)。」いつの日から、内視鏡検査終了後の自身の慣用句になっていた。それに気づいたのは、つい最近である。とある宴席で上部内視鏡検査を受けた女性にばったり出会った。「色々な病院に行ったけれども、検査を受けて『お疲れ様でした。』と言われたのは初めてでした。何かすごく新鮮でした。」
そう言われた本人がとてもびっくりした。「そう言えば言っているな。振り返れば、もう随分前から言っているよな。」僕のモットー「目配り・気配り・足配り、そして最後に声掛け」を無我の境で行っていたのだ。年齢を経て、経営者として磨かれ、内視鏡医として肩の力が抜けてきたのだろうか。自然体という言葉が板についてきた。無意識のうちに発せられる言葉に嫌味がなくなりつつあるように思う今日此の頃である。
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