院長のコラム

レクサスとヨウジヤマモト 

豊田章男さんと山本耀司さん 

16-8-21-1

レクサスは、現在の僕の車である。今回、私的に一悶着あったが、欧州の競合車と十分戦えるブランドになりつつあると考えている。好き嫌いの分かれるところだが、スピンドルグリルというアイコンを取り入れることによりデザインがさらに尖鋭化され、かつ各車に用いられることでブランドイメージが構築されつつある。今年上半期の全世界販売台数が三年連続で過去最高になったようである。プレミアム市場における日本のものづくりが、ようやく実を結び始めたのだろうか。

ヨウジヤマモトは、もはや僕の戦闘服と言っても過言ではない。給料で買い始めて二十五年、学生時代セールで購入し始めて三十年にもなる。三十年も付き合うと感慨深いものがある。
パリコレ人気デザイナーベストテンに常時選ばれ、憧れのブランドとして雑誌にも常に取り上げられていた。しかし、ある時期を境に服が掲載される頻度が少なくなった。服を購入したら必ず貰えたノベルティがいつの間にか失くなっていた。馴染みの店員さんが次々と辞めていった。次々に店舗が縮小閉鎖されていった。価格もコム・デ・ギャルソンと比較してどんどん高くなっていく。極めつけはワイズフォーメンの休止である。何かおかしいと思っていたら、2009年の民事再生法の適用申請である。それ以降、倒産したブランドとして雑誌に取り上げられることはほとんどなく、雑誌やネット媒体の評価も、良く言えば孤高のファッションデザイナー、悪く言えば古典芸能的であった。
しかし、ここ数年潮目が変わりつつあるように感じている。店を訪れても商品が少ない。売れ筋の商品は即刻完売。来店者の数が多くなっている。買い足していたセールで欲しい商品がない。ネットオークションの価格が以前よりも高騰している。この点をスタッフに聞いたところ「正直、売れています。若いお客さんが増えています。」との返答。メディア媒体への露出も多くなっている。ヨウジ社の栄枯盛衰を目の当たりにしている。

レクサスとヨウジヤマモト、ただ単に僕が、開業以来付き合っている車メーカーと三十年来着続けたファションブランドというだけである。接点が何もないと思える両者だが、何とこの夏、中国レクサスのCMで競演しているのだ。昨年末、雑誌「GQ JAPAN」で豊田章男社長と耀司さんが、ものづくりについて対談したのがきっかけになったのだろうか。レクサスジャパンの色鮮やかなポップなCMよりも、トーンを抑えた世界のトヨタと世界のヨウジヤマモトの競演の方がいい、と思うのは僕だけだろうか。残念ながら僕だけに違いない。
日本のものづくりが言われて久しい。しかし、その言葉を発する評論家と称される人々の着ているもの、身に付けているもの、クルマ、MADE IN JAPANではない。僕の周囲の経営者も同様である。服・クルマは欧州、時計はロレックス、そんな人ばかりである。これを機に耀司さんにはぜひレクサスに乗ってもらいたいものである。逆に、豊田章男社長には、公の場でヨウジヤマモトを着てもらいたいものである。真の日本のものづくりは、日本が誇る二人から始まるような気がしている。
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