院長のコラム

信楽訪問

作家訪問(1)

赤と緑が綺麗なお皿です。
しかし、表面には、年月とともに刻み込まれた傷が多数見られます。
これも一つの味わいですね。

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 器がいいと美味しくない料理でもそれなりに、美味しい料理はさらに美味しくなるから不思議である。料理だけでなく盛られた器にも関心がいくのが日本人、と思うのは僕だけだろうか。自身器に興味はあるが、自分で料理をしないので妻に任せきりで無頓着を決め込んでいた。もっぱら、割烹に行った際、料理ともども器も見て楽しむだけであった。
食器、特に陶器に興味が持てなかった理由はもう一つ、至極当たり前のことだが割れたら元に戻らない、これが他の嗜好品と大きく異なることだ。お気に入りのバカラのウィスキーグラスを割られた時のショックや如何に、何度つらい思いをしたことだろうか。したがって、妻の食器選択は、割れてもいい安くて見栄えのいいものが主体である。

研修医の頃、週末に気分転換目的で旭川の平和通買物公園をよくぶらついた。その際、必ずといっていいほど訪れるギャラリーがあった。地元の民芸品を置く傍ら、幅広い分野にわたり有名無名問わず定期的に作家展が開催されていた。初老のベテランスタッフが、子供に一から教えるかのごとく器や絵画のことを懇切丁寧に説明してくれた。
その当時、自分の感性にあったものを数点購入したが、忘れられない食器が2点ある。一つは、瀧田項一氏の赤絵の八寸の深皿である。この皿で手作りカレーを食べると、白い洋食器で食べるよりも何倍も見栄えがよく味も美味しいように思える。引越しを機に紛失したり不注意で割ったりして、5枚あった皿が今ではもう2枚しかない。
もう一つは、角偉三郎氏の合鹿(ごうろく)椀である。藁や手指で漆を塗るという角氏独自の方法で作られたお椀は、まだらに塗られた黒い漆が何とも言えない風合い・光沢を醸し出し、掌への収まり具合もちょうどいい。

何れの商品も、ギャラリースタッフの「長嶋君!!!これは無理をしてでも買っておきなさい。将来きっと役立つし、絶対に後悔しないから。」母親のように諭す言葉を信じて、1泊2日の当直アルバイトで得た現金をそのまま持って買いに行った。今振り返ると、そのスタッフは間違っていなかった。親身になって、とても良い物を勧めてくれたと思う。と同時に、いい器の選択には、いい指導者・指南者が必要であることを理解した。それ以来、作家物の器は購入しなくなった。というよりも、購入できなくなった。

今回、ご縁があって信楽焼の若手陶芸家篠原希さんの自宅を訪問することになった。年に3回程度、愛知県蒲郡にある息子たちの学校行事に参加する。田辺から蒲郡に車で行く際、新名神に信楽インターチェンジがあることは知っていたが、陶器の里というよりも「そろそろ半分なので休もうかな。」という休憩時を知らせる地点でしかなかった。学校の保護者会があった翌日の11月18日に、初めて信楽の里を訪れた。道すがらの陶器店の店頭に並べられた数多の狸の置物が、我々を出迎えてくれているようだった。

ある時、思い立って角さんの合鹿椀を購入しようと思ったら、
角偉三郎さんは2005年に亡くなられたそうです。
今では、息子さんが跡を継いでいるそうです。

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