院長のコラム

生かされてある日々

母からの伝言  
16-1-1-1

十二月十一日
ふわふわ浮いている感覚と頭痛が残った。本調子でないことは確かだが、あいにくその日は年に二回ある忘年会も兼ねたカラオケ大会である。主催者が行儀よく大人しくしていれば盛会にならないのは必至である。飲めや文字通り歌えやで、いつものように立ち振る舞った。
十二月十二日
体調不良に二日酔いも加わって重だるさが顕著だった。しかし、ゆっくり休む時間はなかった。たまたま帰省していた息子とプールの約束をしていたからだ。いつものように一時間程度泳いだが、普段の倍の肉体疲労を感じた。
十二月十三日
大阪へ車でとんぼ返りしなければならなかった。自身の体調不良に、抜け切れない二日酔い、疲れ果てた肉体、それに車酔いまで加わって帰宅した途端寝込んでしまった。休息を取るべき週末が、普段より忙しいものとなった。
十二月十四日
診療終了後、ルーチンワークとなっているマイペーススイミングの講習である。症状は改善傾向にあったが、本調子でないことは確かである。泳いでいても違和感があった。これから症状が良くなっていくのか、悪くなっていくのか気がかりである。スイミングを終えた後、寛ぎたいのはやまやまだったが、引き延ばしていた明日の準備をしなければならない。深夜までスライド作りに明け暮れた。
十二月十五日
診療終了後、田辺圏域保険医療介護の連携体制の構築をすすめる会での発表である。医師として介護事業に参入した半年を赤裸々に報告させていただいた。発表終了後、鍼灸師の方が駆け寄って来て「先生の話を聞いて、自分の仕事を改めて考え直す機会になりました。」と声をかけてくれた。体調がすぐれない中、睡眠を惜しんでスライド作りした苦労が一気に吹っ飛んでいくように思えた。
その後、同会の忘年会にも参加した。体調が悪いなら悪いなりに自制しなければならないところだが、平日一日一食を実践している僕にとっては、本日最初で最後の食事である。しかも忘年会である。欲望は、すんなり理性を上回った。しかし、いつもより酒量が進まない。
十二月十六日
午前診を終えた後、いつものようにスイミング、帰宅後ギターの練習、それにギターのレッスン、そしていつもの飲み会である。症状が出現して約1週間経ったが、いつものように生活を営めている。症状も快方にある。今回の出来事が、一過性のもので病的でないことを確信した。弱気な心が払拭された途端、多少の耳鳴りや立ちくらみは気にならなくなった。まさに「病は気から」である。

今年、母が亡くなった年齢に達した。十八だった僕は、当時、早過ぎる死を悼む方々の声にピンと来なかったが、その年齢になった今、その言葉の意味が十二分に理解できる。やりたいことは一杯あったであろう、夫・まだ成人していない子供を遺して旅立つ無念さは想像に難くない。今の自分で置き換えて考えれば切なくなる。
今回の急激な体調変化は、「さらに健康管理に留意するように!」という母からの伝言のような気がしてならない。これから誕生日を迎える一日一年が、母の無念を晴らすこと、そして何より親孝行になるのだろうと感じている。
16-1-10-2

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