院長のコラム

男の更年期? 

突然の出来事 
15-12-19-1

それは不意に訪れた。診療開始から耳に入ってくる音声、患者応対するスタッフの声、流れているクリスマス・ソングの音、昨日とは全く異なるのだ。当初、プールに入った水がぬけきらないのかと考え、耳抜きをしてみたが通りはどうもよさそうだ。けれども何か違う。聞こえ方に左右差があるような、どちらかの耳がつまっているような、とにかくいつもと違うのだ。
内視鏡検査をしていても違和感を覚えた。i-podから流れている曲,内視鏡本体から発生する音、内視鏡吸引器からの振動の混ざった音、隣の部屋から聞こえてくる内視鏡洗浄機の音、そのどれもが気になるのだ。耳にグワングワンと響いてくる。昨日とは変わらないはずなのに何かが違う。先ずは、一番大きいと思われる音源の吸引器を交換するようスタッフに指示した。怪訝そうな顔をしながらスタッフは迅速に機器を交換してくれたが、更に悪化したので結局元に戻すことにした。
違和感を覚えながらも診療には支障がなかったので様子をみていたが、昼近くになると耳鳴りも伴うようになった。おかしい、いつもと違うと思いながらも、医師である自分自身が病因をつかめないでいた。

それは突然に訪れた。大腸内視鏡検査をしようと椅子から立ち上がった瞬間、しっかりと歩けないのだ。月面を歩いているような、雲の上を飛び跳ねているような、地面に対する接地感が消失した。しかも、歩こうとする度に足に力が入っていかなくなる。壁に寄りかかりながら階段の手すりをつかまえながら、どうにかこうにか二階にある内視鏡室にたどり着くことが出来た。しかし、スコープを握った途端、膝から落ちていきそうな感覚を覚えた。スタッフや患者さん、患者家族を前にして、思わず「すいません、ちょっと調子が悪いので休ませてください。」とふらつきながらも一階にある診察室に行き着いた。
タダ事ではないことを察知したスタッフが心配そうにしている。低血圧か、血圧を計ってもらったが正常である。低血糖発作か、糖分を補給してみたがあまり変わらない。典型的ではないがメニエル氏病か・・・、薬液箱を見て絶句した。当院にはメイロンがないのだ。医薬品卸に至急でメイロンを持って来てもらおうと咄嗟に浮かんだが、「箱単位で購入しなければならないので、きっと不良在庫になるな。」意識がもうろうとしている割に経営者の視点は忘れていなかった。弟の医院に電話して、おすそ分けしてもらうことにした。この間、五分程度だっただろうか、少し横になって休んだだけでも大分落ち着いてきたので内視鏡検査を再開した。
その後、弱り切った自分の体に鞭を打って、予約されていた大腸内視鏡検査八件をどうにかこうにかやり抜いた。この間、メイロンが到着して静注してもらったが、劇的な効果は得られなかった。

開業して約九年、病気で休診したことは一度もない。ただし、体調不良のため「無理かな・・・、」頭をよぎったことは少なからずあった。けれども、遠方から予約して来院してくれる方のことを思うと安易には休診出来なかった。多少熱があっても倦怠感があっても、立って内視鏡を握ることさえ出来れば何とかなる。
しかし、今回は立っていることさえままならない。何が起こったのか、不安が募る一方である。(つづく)

15-12-19-2

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