院長のコラム

這いつくばってでも

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知人の突然の訃報が届いた。彼とは同じような年代で同じ頃に起業したので、同期の桜であり良きライバルと感じていた。いつも笑顔で物腰柔らか、口調も優しい反面、経営者として時代を先取りした大胆な行動をするので見習うことが多々あった。三月に久しぶりに会った時には元気そうだったので、簡単な挨拶で終わってしまったのが今となっては悔やまれる。最近、人伝に体調が思わしくなさそうだと聞いたので、携帯電話に連絡をしたが繋がらなかった。留守番電話に伝言も入れたが返信はなかった。メールをしようか思案していたところに訃報である。驚いたのはもちろんのことだが、仲間としてもう少し関われなかったのか釈然としない気持ちで一杯だ。彼の事業のことや家族のことを考えるといたたまれなくなる。

僕はまだ死ねない。総勢四十名近いスタッフとともに莫大な借金までも抱えている。まだ成人していない子供も三人いる。特に三男には障害があり、彼の行末にある程度の道筋を立ててあげなければならない。仕事ではスタッフに馬車馬のごとく働かされ、しかもケアレスミスを重ねられている。家に帰っては風呂の掃除に洗濯物のたたみ、三男をお風呂に入れて寝かしつける役目が僕だそうだ。院長、理事長の役職などどこ吹く風である。時に、公私に渡る重圧に負けそうになる。時に、依存されすぎて気が狂いそうになることもある。けれども、負けるわけにはいかない、諦めるわけにはいかない。なぜなら、経営者の道を選択したのは僕自身だからだ。

僕はまだまだ死ねない。だから死なないようリスク回避をしなければならない。煙草、塩分、肥満は万病の元である。喫煙はもちろんしない。平日は一日一食にしているので、自然と総カロリー量および摂取塩分量は少なめになる。食事摂取の順番も、野菜類を先に最後に炭水化物で閉めるようにしている。運動も大切である。週二、三回スイミングに行って、一時間少々泳ぐようにしている。六月からは、泳がない日には三十分程度歩くようにしている。健康的には一時間程度のウオーキングがいいのだろうが、一時間となるとどうしても億劫になるので二十分だけと決めて開始したところ、最近は三十分まで伸ばせることが出来た。適度な運動は身体に良く、何よりも汗をかくと心が晴れるような気分になる。

僕はまだまだ倒れるわけにはいかない。家族のため、スタッフのため、そして早くして亡くなった両親のためにも。悲観的になることもあるが、生きていれば至福を感じられることがまだまだ多い、僕にはまだまだ経験していないことが多過ぎる。まだまだ解決しなければならない問題が山積している。泥臭くても、這いつくばってでも行き続けなければならない。彼の訃報に接して強く感じた。

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