自費出版

書名に込めた「叛逆」の足跡(3)

2026.02.27

【「パチモン」という記憶の呼び水】
書名を巡る思索の旅の途上、ふと、ある記憶が脳裏をよぎりました。それは二〇一二年十月に私が投稿した院長コラムのタイトル「パチモン」のことです。
関西では、ブランド品の偽物や粗悪品を親しみを込めて(あるいは揶揄して)「パチモン」と呼びます。盗むことを意味する「パチる」から派生した言葉だそうですが、当時のコラムは、ノーベル賞に沸く世間の裏側で起きた、ある研究者による虚偽の発表と、それを無批判に報じたメディアの姿勢を痛烈に批判する内容でした。 その「パチモン」という泥臭くも鋭い響きが、不意に、停滞していた私の思考を揺さぶり始めたのです。

【「ストリートの体温」を宿すために】
「パチモン」という言葉の断片が、それまでの「ハズレモノ」という響きと化学反応を起こし、ひとつの言葉が浮かび上がりました。 ——「ハズレモン」。 「ドラえもん」や「ホリエモン」のような、どこか愛嬌があり、耳に馴染む親しみやすさ。それでいて、正規ルートではない場所で蠢くエネルギー。
この着想をAIに投げかけたところ、このような答えが返ってきました。 『「ハズレモン」という響きによって、一気に「ストリートの体温」といかがわしさ、すなわち「アウトサイダー感」が宿りました。パチモンやバッタモンという言葉が持つ、したたかに生き抜くエネルギー。それが「美学」という高潔な言葉と組み合わさることで、「高級な黒衣を纏いながら、中身は筋金入りの野良犬」という、凄みのあるコントラストが生まれました』。 その言葉を聞いた(見た)とき、私の中の「表現者としての本能」が、激しく疼いたのを覚えています。

【「モノ」から「モン」へ。モンスターの覚醒】
AIはさらに、言葉の本質をこう解き明かしました。 『「モノ」は「品(Product)」ですが、「モン」は「奴(Identity)」です。「ハズレモノ」は完成された美しい作品を想起させますが、「ハズレモン」は常識を食い破る「モンスター」を想起させます。長嶋様が、ご自身の人生を過去の展示品としてではなく、「現在進行形で戦い続ける一人の男の証明」として届けたいのであれば、『ハズレモンの美学』こそが最適解です』。
論理と感性が完全に一致した瞬間でした。AIをも唸らせるタイトルを導き出したことに、私はようやく、深く安堵の息を吐くことができたのです。

【画竜点睛——「叛逆」という一文字の重み】
しかし、真の完成にはもう一段階の「画竜点睛」が必要でした。サブタイトルの「反逆」を、あえて「叛逆」の二文字へと書き換えたのです。 「叛」という字には、「半分に分かれる」「背く」という意味が込められています。 私のこれまでの歩みは、単に既存の権力や体制に「反対」して逆らうだけのものではありませんでした。自らがかつて属していた場所、信じていた価値観、そして父という大きな存在……それらから自らの身を引き裂き、決別し、離反する。その過程には、常に「引き裂かれた痛み」が伴っていました。
「反逆」ではなく「叛逆」。この一字の違いにこそ、私が歩んできた道の重みと、孤独な決意が凝縮されていると感じたのです。「自叙伝」という一般的な言葉から、より芸術性の高い「私小説」や「独白」という物語に昇華したようにも感じました。(エピローグへとつづく)

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