自費出版

書名に込めた「叛逆」の足跡(2)

2026.02.20

【「白」を否定し、「黒」を纏う覚悟】
一度は決まりかけた『道を外れた者の美学〜白衣に刻まれた孤独と反逆の勲章』。しかし、改めて見つめ直したとき、真っ先に違和感を覚えたのは「白衣」という二文字でした。
実を言えば、開業以来、私は一度も白衣に袖を通したことがありません。私の診察着は常に私服であり、それは私にとっての戦闘服、すなわち「ヨウジヤマモト」です。自らの審美眼を信じて築き上げたこのクリニックという空間に、既成概念の象徴である「白衣」はあまりに不似合いでした。
「白」が象徴する清潔、常識、そして安定。それに対し、「黒」が示唆する孤独、反逆、そして揺るぎない美学。この二つの色を明確に対比させることで、私の想いはより純粋に伝わるのではないか。そう考え、私は「白衣」を「黒衣」へと書き換えることにしたのです。

【削ぎ落とすことで、鋭さを増す】
次に着手したのは、少し冗長に感じられた「道を外れた者」というフレーズの整理でした。
私が外れたのは、単なる「道」だけではありません。家族の期待、組織の枠組み、一般常識、世間体……あらゆる既成概念から、私は自らの意志で逸脱してきました。ならば「道を」という限定的な言葉は不要です。
さらに余計な装飾を削ぎ落とし、「外れた者」を「外れ者」へと短縮しました。言葉がシャープになったことで、どこか文学的な響きを湛えつつ、一度聞いたら忘れられないキャッチーな強さが生まれました。『外れ者の美学〜黒衣に刻まれた孤独と反逆の勲章』。当初の案よりも、遥かにクールで洗練された印象へと進化しました。

【「ハズレ」という響きに託した真意】
しかし、それでもまだ、心の奥底で何かが「しっくり」ときていませんでした。
「外れる」という言葉には、本来の場所から離れるという意味の他に、もう一つ大切なニュアンスがあります。それは、くじ引きの「当たり外れ」で見られる「ハズレ」の意味です。
世の中には、物事の正否や成否を厳しく分ける風潮があります。しかし、たとえ「ハズレ」を引いたとしても、思った通りに事が運ばなかったとしても、それが即座に「間違い」や「失敗」であるとは限りません。外れた場所にこそ、新しい真実がある。そのことを伝えたかったのです。
私は意図を込めて「外れ者」を「ハズレ者」へと変更し、一旦、編集者へ提出しました。

【「モノ」へと昇華されるアイデンティティ】
ところが、提出した直後、今度は「ハズレ者」というカタカナと漢字の混ざり具合に、どうしても拭えない違和感を抱くようになりました。字面のバランスもさることながら、ハズレたのは「私という人間(者)」だけではなく、私の存在そのものであり、私が生み出してきた「概念」そのものではなかったか。「ハズレ者」と記すと、どうしても「社会に適応できなかった人」という情緒的で、どこか湿り気を帯びた響きが残ってしまいます。
一方、すべてを「ハズレモノ」とカタカナにすることで、私という生き方そのものを、一つの完成された「プロダクト(造形物)」として突き放して見るような、プロフェッショナルな潔さが生まれることに気づきました。 メインタイトルをカタカナにすることで、サブタイトルの重厚な漢字(孤独、反逆、勲章)との間に、「静(カタカナ)」と「動(漢字)」のコントラストが生まれます。視覚的なバランスも、これ以上ないほど整いました。 『ハズレモノの美学〜黒衣に刻まれた孤独と反逆の勲章』。 長い旅を経て、ようやく真実のタイトルに辿り着いた――そう、確信した瞬間でした。(つづく)

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