院長のコラム

神様、仏様 ドン・ファン様

 

 テレビ朝日で紀州のドン・ファンについての僕のコメントが放送されたらしい。六月二日土曜の夜、友人から電話がかかってきた。「本当か?」狐につままれたような気分で週明けを迎えた。しかし、スタッフはもちろん、患者さんから何の反応もなかった。放送されるような内容ではないことを自覚していたから安堵した。月曜から水曜日まで何もなかったかのように日常業務を終えた。

通常、水曜日は午前診療だけなのだが、月一回のレセプト業務のため受付スタッフが残っていた。そのスタッフから、フジテレビの「グッディ!」のスタッフから取材依頼があった旨、ラインで送られてきた。既に十分に話をした充実感があったため、「もう話すことは何もない。」断ることに決めていた。ところが木曜日になって、「グッディ!」担当スタッフが田辺出身者であることが判明した。年代も違えば住んでいた地域も学歴も職歴も全く違ったが、同郷という名のもとに老婆心が芽生えた。「前回インタビューに応じた内容と全く同じで構わなければ。」、という前提で取材に応じた。

「グッディ!」でいつ放送されたか自身は知らない。翌日の金曜日夕刻、NHKから突然取材依頼が来た。翌日の第二土曜日は休診日である。心身ともに余裕があったせいか、すんなり了承した。その途端、読売テレビから取材依頼が舞い込んできた。二度のインタビューでどれくらい時間がかかるのか理解していた。したがって、「先約があるから無理。」と断った。しかし、「共同取材することでNHKと話をつけるのでぜひお願いしたい。」と懇願してくる。二社同時なら時間は同じである。それならと応じたが、二社別々に取材に応じざるを得なくなった。同じくらいの時間、ほぼ同じ内容を話すのだ。NHKの「ためしてガッテン」ならまだしも、世間に全く有用でない、ただ単に時間を穴埋めするだけの無意味な内容である。約一時間半のインタビューを終えたところで責任は果たした。直ぐ様帰ってビールが待ち遠しい。

ところが、受付スタッフから「今度は日テレさんが来てるんですが。」と申し訳なさそうに伝えられた。「ニュースZERO」の名刺を持ったスタッフに思わず、「たった今、読売テレビの取材に応じましたよ。日テレとは同系列でしょ、同じ内容なので使い回ししてくださいよ。」と僕、「分かりました。本社に聞いてみます。」との返答。結局、金曜日の夕刻、三社のテレビ取材に応じることになった。日常診療の八時間よりも、たかだか二時間半の取材で疲労困憊してしまった。クリニックから帰り際にもテレビ関係と思しきクルーがいたが、振り払うかのように車のアクセルを踏み込んだ。帰宅して夕食を終えて、いつものようにNHKニュースウオッチ9を見ていたら、紀州のドン・ファンのニュースになった。「今日もドン・ファンかよ。」と毒づく間もなく、自分の姿が突如としてテレビ画面に映し出された。思わず目を背けた。名誉や地位、お金もなければ、ましてや功績もない人間が全国放送に、しかもドン・ファンの知人で出ているのだ。テレビに出たのは嬉しいけれども、他力本願で、それも今をときめくドン・ファンの友人でもなく主治医でもない、ただの知人である。この気持を表現するなら北海道弁の「こっぱずかしい」だ。(もう少しつづく)

 

 

 

 

 

 

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