院長のコラム

趣味嗜好

人と集うことが好きだ。誘われれば基本的に断らない。お蔭で、紀州のドン・ファンとも知人になれた。自身の趣味嗜好を生かして数々のイベントを開催し、開催を支援している。その一つに和装を楽しむ会がある。何かイベントを主催する際大事なのは、参加してくれる皆が楽しめること、最も重要なことはヒエラルキー(階層もしくは序列)を感じさせないことである。女性の着物だと数百万円するものもある。着物の価格を語り出した時点で、その会はおしまいだ。むしろ、其の人の個性を際立たせているかどうかが重要だと感じている。いつもリメイクやデニム生地で参加される五十代の女性がいる。本来の着物という点では異端かもしれないが、彼女の個性を着物が見事に表現している。かたや、ザ・着物と言わんばかりの正統派の着こなしをされる九十に近い御婦人の佇まいは、凛としていて清々しい。

年に一回、お世話になっている時計店の協力で、時計を見る会も取り仕切っている。時計も着物と同じようなところがある。ぱっと見て、それが数千万円もするトゥールビヨンかどうかなんて、ほとんどの人間は分からない。ジャケットの袖から、ちらちら見える時計が、其の人の個性やファッションに馴染んでいるかが肝心である。誰にも聞かれていないのにわざわざ袖をまくってひけらかしたり、半袖のTシャツにこれみよがしに見せつけるのは野暮である。同業者のシャツの袖に、パテック・フィリップのベーシックな三針の時計を見つけた。僕が抱く彼のイメージと随分ギャップがあったので思わず聞いたところ、そのブランドの歴史や職人気質さに惹かれたそうだ。彼の医療に対する姿勢と通じるところがある、彼はもう亡くなったが感心したのを鮮明に覚えている。着物も時計も値段が高ければいいというものではない。

車は好きだが、集う会を開催するつもりは毛頭なければ、誘われても恐らく躊躇することだろう。そもそも車の運転があまり好きではない。以前、息子達が海陽学園に在籍していた時、蒲郡まで三時間程度の長距離運転をすることが度々あった。根がせっかちなので、一刻も早く学園に着くことだけが目的で、途中の景色やドライブインでの買い物や食事を楽しむことは一切なかった。車高の低い車だと長距離運転が辛いので、ある時期を境に専らSUVばかりに乗るようになった。車は趣味嗜好品ではなく実用性が一番、とずっと思っていた。というよりも、思い込むようにしていたという方が妥当だろう。理由がふたつある。

以前、アストンマーチンとフェラーリのディーラーに事前予約せず訪れたことがあった。冷やかしのつもりで行ったのだが、多額の借金を抱えた開業医でもいつか買えるかもしれない、後学のためと思って自動扉の向こうへ一歩踏み出した。誰も近づいてこない。僕は車をまじまじと見ているのに、スタッフは僕を遠目に見ている。ロン毛の黒服男のいかがわしさが両ブランドに相応しくないと判断されたのだろう、門の中に入ったにもかかわらず門前払い同様の仕打ちを受けた。「二度と両社の敷居をまたぐことはあるまい。」、大阪から帰りの車中で心に誓ったのは言うまでもない。「車は実用的であるべき。」、いい聞かせてきたもう一つの理由は、車がある種のステレオタイプなイメージを前面に打ち出すツールだからである。メルセデスに乗っている人、BMWを選択する人、何となくイメージできる。NSXの試乗会やランボルギーニのディーラーで見たオーナーには共通点が多かった。男性ホルモンが必要以上に分泌されたメタボ体型、肩で風を切って歩き、どんとソファに足を組んで座り上から目線で大声でしゃべる人、いかにもという紳士が多かった。金銭的に相当余裕があり社会的にも認められている方々なのだろうが、正直お付き合いしたくないと感じた。そんな僕だが、ご縁があってNSXを購入することになった。けれども。同等の車格のオーナーと集うことはないだろう、購入して以降そう思っていた。(つづく)

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