紀伊から遠く離れた三河で見たバーキン:バーキンって、いつからランドセルになったの?(2)
【「島流し」と「親心」――三河湾に届かぬ想い】
エルメスの「バーキン」や「ケリー」といえば、誰もが知る憧れの象徴だ。それぞれの名には確かな由来があり、前者は女優であり歌手のジェーン・バーキン、後者はモナコ公妃グレース・ケリーに由来する。それくらいの教養は、一般常識として頭に入っていた。
僕が初めてその実物を目の当たりにしたのは、やはり2008年のことだった。長男が愛知県蒲郡市にある全寮制の海陽中等教育学校に入学した年である。
和歌山県田辺市から距離にして360km、車を飛ばしても4時間半はかかる三河湾の沿岸。断腸の思いで13歳の長男を親元から旅立たせ、のちに次男も同じ道を歩むことになった。
しかし、当時の彼らにしてみれば「島流しにされた」「牢屋に入れられた」という感覚だったらしい。
まさに「親の心、子知らず」。だが、彼らも歳を重ね、社会人となって次のステージへ進むにつれ、当時の親の断腸の思いを深く理解するようになったという。まさに「親思う心にまさる親心」――いま振り返れば、あれも必要な通過儀礼だったのだと思う。
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