院長のコラム

「成金開業医の集まり」と笑い飛ばせる仲間と、夜景に乾杯:ウォルドーフ・アストリア大阪体験記(2)


エレベーターの扉が開くと、そこは光に満ちた別世界だった。ラウンジ「Peacock Alley」から見えるのは、淀川を挟んで広がる大阪市街のパノラマビュー。夕暮れの光を浴びた街並みがキラキラと輝き、まるで宝石箱のようだ。数分前までポルシェ・タイカンの家族に冷ややかな視線を浴びせられ、血が上っていた頭は一気にクールダウンし、この世のものとは思えない異空間に迷い込んだ気分になった。ロビーからホテルフロントへと続く通路は、これから始まるホテルライフへの期待を否が応にも高めてくれる。僕の気持ちは完全にリセットされ、O先生夫妻との再会を心待ちにしながら、ゆっくりと歩を進めた。

チェックインを済ませ、部屋へと向かう。我々が選択したのはスタンダードながらデラックスルームで、十二分に広々としている。バスタブとシャワールームは独立しており、洗面台もダブルシンクだ。窓からは、大阪駅の裏側からグランフロント大阪まで見渡せる壮観な景色が広がり、思わずため息をついてしまった。この非日常的な空間が、日々の喧騒を忘れさせてくれる。
身支度を整え、O先生との会食場所であるホテル内のフレンチカジュアルレストラン「JOLIE BRASSERIE」へと向かった。ここからの景色もまた、大阪市街を一望できる絶景だ。あらかじめO先生がコース料理を予約してくれていたので、我々は提供されるものをただひたすら楽しむだけでいい。飲み物のオーダーにしても、O先生が「エントリーレベルで」「コスパのいいやつで」「リーズナブルなもので」と頼んでくれる。ワインについて蘊蓄を語るような野暮な人間はいない。この場におけるメインディッシュは、料理や酒ではなく、あくまでも仲間との語らいなのだ。

会話の内容は、いつものごとく日常の些細なこと、近況報告、車や趣味、そして子どものことなど多岐にわたる。僕らはただ会話を楽しんでいるだけなのだが、傍で聞いていたら「新しい形の反社か?」「スマートなトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)か?」と思われかねない、相当景気のいい内容で胡散臭さが漂うテーブルだったに違いない。
まだ何者でもない研修医の長女に言わせれば「成金開業医の集まり」だそうだ。彼女の言葉に、苦笑しながらも胸を突かれた。そうは言っても、開業すれば誰もが同じくらいの所得になり、同等の車に乗り、同程度の身なりをするわけではない。見栄を張るつもりもなければ、得意げになるつもりもない。ただ懸命に働いた結果を、同じように努力を重ねてきた仲間と分かち合い、笑い飛ばしたいだけなのだ。

不思議なもので、同業者なら誰でも良いわけではない。相性が合うというか、胸襟を開けることができるというか、片意地を張らないというか、とにかく一緒にいて心地良いのだ。僕にとって、O先生夫妻やI先生夫妻は、まさにそんな、かけがえのない存在だ。仕事や家族、そして趣味の話を語り合うことで、互いに刺激を与え合い、また明日から頑張ろうという活力が湧いてくる。
午後6時に始まった会は、あっという間に3時間が過ぎた。O先生は手際が良く、食事が終わる頃には、既にバー「CANES&TALES」への移動を手配してくれていた。ホテルマネージャーの案内で、我々は二次会の会場へと向かった。(3につづく)

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