院長のコラム

パンダ狂騒

 

https://www.agara.co.jp/photo_detail/511348

 黄金週間開け、出版の打ち合わせのため五月下旬、平日に上京することになった。上京が決定してから南紀白浜→羽田空港の最終便の予約をずっと見ていた。ずっと満席で、空いても正規料金のため四万円以上かかる。帰りの羽田空港→南紀白浜の最終便は変更不可席なら一万五千円程度。先ずこちらを予約して、ギリギリまで飛行機を待った。結局予約自体取れず、JRで上京することになった。こちらは割引料金の飛行機代と同等だが、なにしろ時間がかかる。新大阪→東京の新幹線は二時間半とそれほど苦でないけれど、同時間かかる紀伊田辺→新大阪が辛い。

 黄金週間前後、イベントや買い物等で隔週おきに祝日と週末に大阪に出かけた。午前に大阪を目指し夕方に返ってくるのだが、上りも下りも阪和道は快適。しかし、反対車線は交通量が多く、印南インターチェンジ付近では行きも帰りもいつも渋滞が出来ていた。「何でだろう」と考えたら合点がいった。首都圏や京阪神の人々がパンダを見に押し寄せているから。四月二十四日、白浜町にあるテーマパーク「アドベンチャーワールド」が、飼育している四頭のパンダすべてを中国に返還すると突然発表した。地元民にとっても「寝耳に水」のことだった。真偽の程は不明ながら語られているのは二点。一つは親中派で有名な二階俊博氏の政界引退、そしてその息子の衆議院議員選挙落選。よもや中国は、今夏の参議院議員選挙で二階氏子息の落選を織り込み済みなのだろうか。もう一つは、親台派の元国会議員が白浜町長に当選したからとも言われている。パンダの産地と知られている行政区からの友好都市提携を町長が断り続けたとか。何れにしても、政治的な思惑が働いたに違いない。

 返還決定後、NHK和歌山の夕刻の番組では連日このニュースで賑わった。インタビューコメントは、「パンダに会えなくなると寂しい」「最後にもう一度パンダに会っておきたい」「何度も来ていたので悲しい」など感情的で情緒的なものばかり。酒を飲みながらTVのこちらで、「悲しい思いをさせたのは一体誰やねん!」と毒づいている。パンダの貸与額は公表されていないけれども、二頭で年間一億以上と言われている。それ以外にも飼育費や環境設備費等莫大な費用がかかる。カナダやフィンランドではこれらの費用を賄えず、契約期間満了前にパンダを返還したそうだ。1994年に白浜にパンダが来て三十年以上、この間十七頭のパンダが生まれた。高い金額を支払い、なおかつ繁殖に多大に貢献したにも関わらず、突然の契約期間満了による全頭返還。中国という国の理不尽さ、尊大さ、狡猾さ、身勝手さ、不義理さを、今回のパンダ返還で民間レベルながらよく分かった。これ以上のことが国家レベルで行われているのだから、中国という国との付き合い方は非常に厄介だ。パンダの愛くるしい仕草の影に隠れた、表面模様の白黒とは裏腹なドス黒さに戸惑うばかり。

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