院長のコラム

イマドキの女子力

中学校の同級生四人で定期的に食事会をしている。分野は違えど経営者であり責任ある立場にあることが共通しているのか、集まると話がつきない。定例会にしている訳ではなく、誰からとなく「そろそろ行こか。」の声で平均すると二ヶ月ごとに飲んでいる。妻も高校の同級生と定期的に女子会をしている。この場合、女子会と言うよりババア会なのだが、男と違って更年期なので自分の健康のことや子供のことで話が盛り上がるそうだ。何れの会も、美味しい料理に酒は欠かせない。妻からお勧めの店をよく尋ねられる。

先日、知人と家族ぐるみで馴染みの居酒屋に行った。店の前のボードには本日満席と書かれていた。我々の席は三つあるテーブルの真ん中で、訪れた時間には他のグループはまだ集まっていなかった。満席になれば頼んでも遅くなるだろうと見越して、来るやいなや一気に注文した。そうこうするうちに若い女性がぞろぞろと入ってきた。左右のテーブルとも女子会だった。我々のテーブルは生ビールで乾杯、あっという間にビールがなくなり、美味しい日本酒が置かれた店なので次に四合瓶を注文した。次から次へと料理が運ばれるためテーブルに料理が置けなくなった。話すやら飲むやら食べるやらで、しばらく慌ただしい時間が続いた。

注文している料理が一段落した頃、ふと気づいた。左右のテーブルとも人数の割に料理が運ばれて来ない。料理がないからだろう、飲み物を次々に頼んでいる気配もない。話が盛り上がっているかというと、互いにスマホを触りながらなので一体感のある盛り上がりはない。時々大きな笑い声が起こったかと思うと、急にトーンダウンして静まり返る。居酒屋で初めて見る光景なので気になってしょうがない。そう感じていたのは僕だけではなく、妻や友人夫婦も同様だった。たくさんのお皿が並べられた我々のテーブルとは対照的に、左右のグループとも飲み物だけが置かれたテーブルで一見集団なのだがてんでバラバラなのだ。注文しないからだろう、とうとう上がりが出されたにも関わらず一向に会計する雰囲気がない。上りが出てから更に一時間以上粘って、足かけ三時間、一人あたりの単価で言えば千五百円に満たない程度で一組のグループが帰って行った。もう一つのグループは我々が帰る頃にもいたが、先に帰ったグループと遜色なかった。

よく知った店主なので店主が気の毒で仕方なかった。会計すると、我々はさんざん飲食をして一人あたり五千円だった。女子グループの方は人数が多いにも関わらず、売上は我々の半分にも及ばない。予約してくれている以上、店主は帰ってくれとは言えない。電話で問い合わせがあっても満席なので断らざるを得ない。我々の世代からすれば「飲食せず集まるだけならファミレスに行けよ。」と思うのだが、彼女たちに言わせるなら「予約してそれなりのお金を払っているのに何が悪いの。」といったところなのだろう。自分が居酒屋の店主もしくはその妻の立場なら自分達の行動をどう思うのだろうか、相手の立場になって思いを巡らすことが出来ないのだろうか、帰宅して妻としみじみと話し込んでしまった。

今回の事案を中学校の同級会で話したところ、飲食関係の友人が何処の居酒屋も同じような悩みを抱えていることを語ってくれた。そして、それは女子会だけではなく合コンも同様だそうだ。合コンはもっとドライだそうで男女で割り勘は当たり前、気に入った異性がいなければ話もしないそうだ。我々が若い頃は、などと説教じみたことを言うつもりはない。彼女達が我々の世代になる頃、彼女達の子供が成人する頃、現在のような居酒屋の形態が成り立っているのだろうか、時代の大きなうねりを図らずも居酒屋で感じた。年齢を経て大袈裟に考えるようになったのだろうか、杞憂に終わることを祈るばかりである。

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