槇原敬之と斉藤和義(1)
今年で開業して十八年。この間意図した訳ではなく、いつの頃からか当院は予約優先の内視鏡専門クリニックと化した。今年のGWは暦通りに行くと飛び石連休。長年の経験上、GWの中日は予約が激減、予約外の内視鏡検査もほぼないに等しい。ならと、中日診療は五月一日、二日だけにし、GWは前半と後半の計十日の休診とした。例年なら家族小旅行を予定するところ。陣頭指揮を取る長女が今年から社会人になり、誰も予定を立てる人間がいなくなった。そうは言っても、長期休暇を取るからにはそれなりに準備をした。前半は作家気取りで出版社に提出した文章の修正に取り組み、後半戦は怒涛だった。
五月三日土曜の憲法記念日は、大阪フェスティバルホールにて槇原敬之コンサート。前回のコンサートが好印象だったため、チケット会社から届いた案内に内容も調べず応募、そして当選。在京中の長男に連絡を取り家族四人で参加した。今回のツアーは、「Makihara Noriyuki Concert 2025 Buppu Label 15th Anniversary “Showcase the Live!”」。自社レーベル・Buppu Labelの設立十五周年を記念したベストアルバム「Buppu Label 15th Anniversary “Showcase!”」を引っ提げた全国ツアー。正直なところ、マッキーは2000年に発売されたアルバム「太陽」まで。だから、今回のツアーの楽曲はほとんど知らない。それでも楽しめたのは、歌詞がよく伝わる歌唱力、変わらないマッキー節とそもそもの楽曲の良さ。アンコール最後の「どんなときも。」は、秋に開催されるデビュー三十五周年記念アリーナコンサートにつながる素敵な流れ。コンサートに参加して再び感じたのは彼の人柄。温かさと優しさが伝わる姿勢と態度。それが時に弱さになり、騙されるのかもしれない。もう一つ喜ばしかったのは、今回の衣装が「ヨウジヤマモト」だったこと。翌日、ショップに電話をかけ在庫確認した。タイミングを見計らって購入するつもり。十月の大阪城ホールも無事チケットが取れた。
コンサート終了後は、中之島公園内にあるイタリアンに長女達と落ち合った。自慢できる話ではないが隠すほどでもないから記す。実は、国家試験合格とともに長女は同級生と結婚。つい先日、卒業式のため振り袖をレンタルしたばかり。「もう、結婚式の着物?」と慌てふためいたら、さすがに研修医なりたてでは結婚式と新婚旅行は無理というもの。知人にこのことを話すと一様にびっくりされ、「先生の人生は落ち着く暇がありませんね」と爆笑される。だから、長女達の達は旦那さんのこと。社会的な肩書きは互いに医師でも、社会人一年生目にして医者のひよっこ。仕事も人生も何たるかわからない二人が、学生時代の延長線上で社会の荒波に漕ぎ出していく。互いの両親の意見も忠告も聞かないのだから自業自得というもの。二人で生きていくのを見守るしかなく、支援を求められたら手を差し伸べるだけ。それは相手側の家族も同じ思い。マッキーのコンサートでハートウォーミングになった心でお馬鹿な二人をもてなす夕食になった。