自分で自分の首を絞める
来年二月の自費出版に向けて悪戦苦闘している。というか、自分で自分の首を締めている。当初、六月末までに八万字を目安に下書きを完成させ、その後、約半年かけて編集を進めていく予定だった。帰宅して余裕があれば机に向かい、仕事に疲れた時は夕食後にPCに臨む日々。シラフではどうにも書き進まないからアルコールが入ったほうがいい。爽快期からほろ酔いくらいで脳活動が鮮明になり、心の底の思いが湧き出てくる。あたり前のことだけれども、約束事は守る、時間厳守がモットー。こと今回に関しては、早く進めていきたい、より良いものにするため何度も推敲したい気持ちが強く、下書きを四月末に九万弱で提出した。
出版社の次なる提案は、ラフな原稿を予定通りの文字数にスリム化すること、その後対面での打ち合わせだった。ついては六月頃の平日の上京予定を尋ねられた。五月末にルイヴィトンのイベントが渋谷で開催され、当初オンラインで参加することにしていた。それなら、現地でのイベント参加と打ち合わせの一石二鳥と判断し上京の日にちを伝えた。これがいけなかった。遅くても打ち合わせの一週間前に一回目の推敲を終えていなければならなかった。書いたものを削ぎ落としていくだけの行為と考えていたら、これが苦難だった。酔って書く行為は痛し痒しで、キラリと輝く文が表出する一方、読み直すと文章が冗長化して読みづらい。GW後二週間で校正しなければならない。食事のお誘いやイベント事もあり、その合間を縫ってルーティンの院長コラムを放りだし日々自分の書いた文章と向き合い、どうにかこうにか予定日までに原稿を提出できた。
月末に上京し、おそらく、今後の予定と編集方針が決定するものと思われる。渡されたボールを一旦投げ返すことができ安堵しているものの、まだまだ道は険しい。今までに経験したことのない産みの苦しみを現在味わっている。しかし、自費出版を後悔しているかと言えば苦しみを楽しんでいる。普通に生きていて、自分の人生を振り返ることなどそうそうない。それは生き方や考え方も同じで、ぼんやり思っていても明確化する機会は得られない。人生の岐路で自分が何を思いどう行動したか、現在ある自分はどうしてここに至ったか、振り返る潮時になった。出版に向けて大きな一歩を踏み出した。