院長のコラム

若くても胃がんに注意を

紀伊論壇(4/11)より 

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地方紙「紀伊民報」に投稿しました。以下が内容です。
わたしは今年2月の消化器病学会近畿支部例会で「若年者の鳥肌胃炎に合併した胃癌(がん)の2例」を、3月の消化器内視鏡学会近畿地方会で「若年者の皺襞(すうへき)肥大型胃炎に合併した胃癌の1例」という報告をしてきました。
がんと言えば中高年のイメージがあるかもしれませんが、報告の対象となった事例は高校生と30代半ばの女性、30代後半の男性でした。診断当時に「高校生でも胃がんが」と衝撃を受けました。
幸いにも小さな腫瘍(しゅよう)だったので、内視鏡治療を行い、5年たった現在も健在ですが「早期発見、早期治療」が大切であることを強く実感し、認識させられた貴重な経験でした。
いずれの症例もヘリコバクターピロリ菌(以後ピロリ菌と略)感染者でした。ピロリ菌が胃炎や胃・十二指腸潰瘍(かいよう)を引き起こし、胃がんの発症にも関係していることは広く知られていますが、ピロリ菌感染者全員が潰瘍やがんになるわけではなく、潰瘍で数%、がんで0.2~0.3%程度と言われています。
現在、ピロリ菌の除菌治療は、医療保険上、基本的に胃・十二指腸潰瘍にしか認められておらず、慢性胃炎の場合は自費で除菌治療をしなければなりません。
今年、日本ヘリコバクター学会は、発がん抑制のためにピロリ菌感染者に対して、積極的に除菌治療を勧めるべきだというガイドラインを出しました。潰瘍だけではなく胃炎も含めて治療しようという画期的な内容ですが、今回の提案は学会レベルの話で、今後保険適応が認められるかどうかは分かりません。
わたしたち消化器専門医は今しばらく、どのようなピロリ菌感染症例を除菌すれば、より効果的に胃がんの発生を抑制していけるか情報収集する必要があり、日常診療の中で症例を集め報告していかなければならないと思います。
今回報告した胃の出口に鳥肌がたったようにぶつぶつができている鳥肌胃炎や、胃のヒダが太くなり蛇のようにくねくねしている皺襞肥大型胃炎は、たちの悪いタイプの腫瘍細胞につながる可能性が指摘されており、発がんの可能性の高いこれらの胃炎を積極的に除菌していくべきだと考えています。
一方で、検査を受けたいけれど内視鏡検査はつらくてしんどいといったイメージが根強く残っているのも確かです。以前は、医師も内視鏡検査は我慢して耐えて検査するものだという認識がありました。最近では、鼻から内視鏡を挿入する方法や、鎮静剤を使用して口から挿入する方法によって、以前より大分楽に、気軽に検査を受けられるようになりました。
若くても胃がんや、もしくは胃がんになる可能性の高い胃炎を持っていることがあります。症状のある時や身内に胃がん患者さんがいるため心配な場合は、内視鏡検査を積極的に受けることを勧めます。

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