院長のコラム

薪ストーブと温もりある言葉

例年当地では、一月二十四、二十五日あたりに大雪になることが多い。温暖な地域なので雪が降ると一気に交通麻痺に陥る。すると、予約患者のキャンセルが相次ぎ、雪が積もった数日は開店休業状態になる。今年、大雪は回避されそうだが予約患者数が少ない印象だ。おそらく、寒い日が連日続いているからだろう。冬場、クリニックの誰よりも天候・気温に敏感な僕にとって、今年は近年稀になく底冷えする冬と感じている。

クリニックのおもてなしの一環として待合室に薪ストーブを設置した。日本製で非常にコンパクトなストーブなのだが、焚付にちょっとしたコツが要り開院時から僕が火付け役になっている。まだ真っ暗な時間に起床し、前日から用意していた服にさっと着替え、開院一時間前の七時十五分前にはクリニックに到着し、火付けが一段落すればコーヒーでほっと一息つけ、洗面・トイレ、新聞に目を通して患者さんの来院に備える。開院数年はよほど暖かくない限りほぼ毎日早朝出勤していた。早起きが決して得意でない僕にとって、冬、特に一月、二月は苦痛の季節である。

しかし、ある時を境に薪ストーブの焚付に自分なりの経験則を見出した。当院は全面ガラス張りになっているので、日が当たってさえいれば最高気温がたとえ三度でも温室効果により暖房器具が要らなくなる。うちのスタッフは、真冬でも半袖で働いているくらいである。その日の天候で加味しているが、最低気温零度前後、最高気温五度がストーブ火付けの目安にしている。その基準に則るようにしてから、真冬の早朝の苦労は随分軽減された。昨年はほとんど焚付に行かず、一昨年購入した薪が今年に越冬したくらいである。

今年はとにかく寒い。年明け以降、連日焚き付けに行っている。備蓄していた薪がいよいよ無くなりそうになったため、今までお世話になっていた業者さんに久しぶりに問い合わせた。今となってはどのようにしてその業者さんと繋がったのか不明だが、本業は別で薪はあくまでも副産物のようだった。今年はストーブ用の薪がないこと、来年以降もめどが立たないとの返事だった。知人を介して、どうにかこうにか300キロ程度の薪を確保することが出来た。

年齢のせいだろうか、早朝出勤の日の診療が例年以上に辛く、検査の合間にチェアにもたれることが多くなった。それを見かねたスタッフから、「先生、ストーブつけに来ましょうか。」と労いの言葉をかけてもらった。開院して十年、初めてスタッフから温かい言葉を投げかけられた。自分の名前を冠したクリニック故だろうか、当クリニックのスタッフは院長の命令に対して従順だが、自主的に率先して行動することに欠けている印象があった。ここ数年のスタッフの入れ替わりで、トップダウンの組織から相互扶助が出来る組織になりつつあることを実感している。おもてなしのため本業の医療がおろそかになれば、まさに本末転倒である。前日から段取りをして、僕の出勤時間を少し遅らせるか、着火時間は大分遅れるがスタッフに火付けを頼むか、現在試行錯誤している。十一年目を迎える新春、クリニックの体制はまだまだ進化している。

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