院長のコラム

これも有名税か —— 搾取と無作法の荒野にて(後編)

【押し寄せる「無作法」の波】
困るのは、メール対応である。
当院のメール窓口は、今も僕自身が担っている。さすがに投資案件や電気料金の勧誘といった低俗なものはフィルターを通り抜けてこないが、その代わり、巧妙なフィッシングメールやスパムメールが山のように届く。発信元と表題を見れば一目瞭然、「迷惑メール」として処理すれば済む話ではある。
だが、真に厄介なのは、記事掲載依頼、取材、果ては有名人との座談会といった「取材商法」や「タイアップ広告」の勧誘が、あたかも正当なビジネスの顔をして入り込んでくることだ。

【甘い囁きの裏に潜む「テンプレート」】
相手はプロである。こちらの熱量やこだわりを周到に調べ上げた上で、実に「あざとい」言葉を使い、懐に入り込もうとしてくる。
こうしたメールには共通のテンプレートが存在する。入り口は「無料」、あるいは「掲載費用は一切発生しません」という甘い囁き。しかし、その実態は、掲載自体は無料でも、別の高額な有料取材やオプションを抱き合わせる巧妙な仕組みだ。
先日も、「自叙伝を自費出版される貴兄に感銘を受けました。ぜひ取材させてください」というメールが届いた。彼らは僕のコラムを読み込み、こう踏んだのだろう。「この男は情熱的で、独自の哲学を何より大切にしている。ならば、その『哲学』を称賛する言葉を並べ立てれば、簡単に心が動くはずだ」
彼らは、僕を「情熱ゆえに判断力を失った、御しやすいカモ」だと見なしたのである。

【暴かれた「ビジネス」という名の仮面】
今の時代、相手のURLを叩けば、その会社の素性など即座に露見する。案の定、検索結果には「騙されそうになった」「実態のない囲い込み企業」といった不名誉な評価が並んでいた。さらに、届いたメールをAIに放り込んでみたところ、瞬時に「一目瞭然の定型文」であると断じられた。
だから、僕はこうした「インタビュー商法」の類には一切応じない。医師を、表現者を、一人の男を、単なる「数字」や「カモ」としか見ないその下劣さに反吐が出る。 悲しいかな、この世には、不誠実が「ビジネス」という仮面を被ってまかり通っている。そもそも、開業して二十年近く。これ以上の名声も、薄っぺらな虚飾も、今の僕には一切不要なのだ。

【聖域を汚す者への、静かなる断罪】
冷静な判断を下す一方で、僕の内側では、ふつふつと煮えくり返るような怒りが収まらない。 二十年以上、血を吐くような思いで築き上げてきた「美学」や、誰にも頼らず進んできた「孤独な闘い」。その聖域を、彼らはろくに理解もせず、「金を持っていそうな医者を釣るためのエサ」として土足で踏み荒らそうとした。
僕が魂を削って紡いできた哲学を、あざ笑うかのように懐に手を入れるための「武器」に利用する。その「人間としての尊厳に対する圧倒的な無作法」が、僕は我慢ならないのだ。僕の人生は、貴様らの小銭稼ぎのためにあるのではない。その不遜な魂ごと、僕の視界から永遠に消え去るがいい。(完)

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