届けたい、しかし届かないこの思い……(前編)

【数字という名の「静かな波」】
Googleが提供する解析ツール「アナリティクス」。サイト訪問者の行動や属性を可視化し、マーケティングの改善を促すためのものだ。ネット通販企業にとっては必須のツールだが、僕はこれをビジネスのためではなく、なかば興味本位で眺めている。
3月上旬のとあるデータ。月間アクティブユーザー2,220、表示回数9,680、イベント数2.6万。 この数字の正当な評価は難しいが、AI(Gemini)に投げ込んでみると「個人サイトとしては極めて優良」との回答が返ってきた。その言葉に、まずは小さく安堵する。
【和歌山の田舎から、世界へ】
詳細なデータまでは追えないが、大まかな訪問地域は判別できる。驚くべきことに、国内47都道府県は網羅され、さらには米国、中国、韓国、ドイツ、豪州といった海外からもアクセスがある。
一体全体、和歌山の田舎にある一開業医のサイトに、彼らはどうやって辿り着くのだろうか。もはや不思議を通り越して「謎」ですらある。
よく読まれているのは、圧倒的に「院長コラム」。次いで「尾崎豊関連」「内視鏡検査の流れ」「スタッフコラム」と続く。
さらに、サイト内に留まり続ける率を示す「直帰率」は35〜40%程度。これも相当に優秀な数値だという。総括すれば、僕のサイトを訪れる人々は、個人のホームページとしては比較的数が多く、かつ内容をじっくりと読み込んでくれている傾向にある。
【「見えないあなた」への、焦燥と渇望】
3月2日、自叙伝出版に向けたクラウドファンディングを開始した。
これは単なる費用の回収が目的ではない。20年近く院長コラムを紡いできた僕の考えや生き様を、今まさに悩んでいる人、あるいはかつて僕と同じ境遇にいた人へ、覚悟を持って届けたいという試みだ。
目標金額は120万円。リターンを3000円とすれば、単純計算で400人の支援が必要になる。 ありがたいことに、開始1週間で100名もの方々から、目標の半分にあたる支援をいただいた。
しかし、しかしだ。人数的にはもっと伸ばせるはずだという確信が、僕を急かす。 月に2,000人以上が僕の言葉に耳を傾けてくれているのだ。その10分の1、200人が手を挙げてくれれば、その先の景色が見えるはずなのだ。
現状、支援の多くは身近な友人や知人、スタッフたちによるものだ。僕のコラムを日々読んでくれている「まだ見ぬあなた」の元へ、僕の背景や生き様を綴ったこの物語が、まだ届こうとすらしていない。
どうすれば、この壁を突き破れるのか。どのようにして、「見えないあなた」の心に手を差し伸べることができるのか。僕が、たとえ「あなた」なら、いかにしてその「指先」を動かすことができるのか――。僕は今、その答えを探して、暗闇の中で言葉を投げ続けている。(中編につづく)
キャンプファイヤー:『ハズレモンの美学』出版プロジェクト
https://camp-fire.jp/projects/921507/preview?utm_campaign=cp_po_share_c_msg_projects_show





