バーキンって、いつからランドセルになったの?(プロローグ)
これは、和歌山の片田舎でクリニックを営む一人の地方(痴呆?)医師が、18年間にわたりラグジュアリーブランド「エルメス」の最高峰プロダクトと対峙し、その狂乱の変遷を、時に熱く時に冷めた目で見つめ直した「実存と叛逆」のエッセイである。
物語の起点となるのは2008年。僕が初めて手に入れたのは、巷で持て囃されるバーキンでもケリーでもなく、パリコレで発表された異色のコラボモデル「サック・ヨウジ」だった。
当時、15年以上「ヨウジヤマモト」の黒を纏ってきた男が、最高峰の革「ヴォー・バレニア」の息づかいに触れ、職人技と素材そのものの圧倒的な存在感に魂を揺さぶられたことから、エルメスとの長い付き合いが始まる。
その後、長男の全寮制学校の保護者会で目にした「洗練された妻たちのバーキン」をきっかけに、僕たち夫婦は大阪・梅田のヒルトンプラザの門を叩く。
リーマン・ショック直後のデフレ下、店頭にはオレンジとエトープの2つのバーキンが並び、「どちらにしますか?」と問われる贅沢な時代が存在していた。
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