甘美なる還暦と、最後の「毒」:ローマ愛・第二章―最下層フェラーリスタの受難と狂心―第5話(最終話)
【この文章のはじめに、ハズレモンから】
幾多の狂想曲を経て、ガレージに収まった「ローマ・スパイダー」。
オープントップを開ける勇気すらないまま迎えた還暦という節目の年。ダンディズムなど微塵もない男が、なぜこれほどまでにこの鉄の塊に固執し続けるのか。
それはブランドという虚飾に酔っているのではなく、「ローマ」という唯一無二の奇跡に魅せられたからに他ならない。
これは、一人のハズレモンが辿りついた「La Nuova Dolce Vita(新しい甘い生活)」の、ささやかで愛おしい完結の独白である。
【「ローマ」という奇跡と、還暦の風】
納車からはや1年、今秋無事に1年目点検を終えたばかりだ。
折角のオープントップだというのに、青空の下で堂々と屋根を開ける勇気は滅多に湧いてこない。
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