院長のコラム

忘れた頃に海陽学園

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また、この季節が来た。次男が所属していた海陽学園野球部が、夏の甲子園愛知県大会の予選で創部以来初の一勝を勝ち取ってから二年が経った。その時が、僕の海陽学園愛のピークだったように思う。長男で経験していたので、野球に打ち込んでいた次男に現役合格は期待していなかった。次男の卒業式には、粛々そして淡々と出席した。学園の門を後にする際も不思議と感慨はなかった。長男を入学させた頃の情熱は、いつしか冷めていたことに気づいた。

息子達が学園在学時、先輩保護者のブログが大変参考になり役立った。けれども、画竜点睛を欠くではないが、どのブログも不完全燃焼のままで終わるのが常だった。ご子息がどうなったのか、ご子息を学園に任せて親として何を感じたのか、先輩の率直な意見を知りたかった。僕の場合、自分のホームページ上で何度も学園のことを書いてきた。実名で書いたせいか、学園でとり行われる行事では何人もの初対面の方から「ブログ(コラム)楽しみにしています。」と声をかけられた。地区懇談会にいたっては、初対面にも関わらず昔から知っているかのように気兼ね無く話すことが出来た。学園を通じて自分が感じた中等教育の在り方を、何度も、そしてありのままに書かせてもらった。それ故、自分なりに総括する責任があると常々感じていた。しかし、未だ締めくくることが出来ていない。次男がまだ浪人中なのだ。

これを機会に、少し中締めをしようと思う。長男は二浪の末、希望の学部に入ることが出来た。全寮制の男子学校、優秀な教師陣、恵まれた教育環境で学んだにも関わらず、自分の夢を叶える第一歩を踏み出すため更に二年を要した。長男に学力がなかったと言えばそれまでだが、かと言って落ちこぼれていた訳でもなくクラスはそれなりだった。なぜ更に二年もかかったのか、親の判断が親のエゴに過ぎなかったのでは、今も自問自答している。全く心配がなかったのは、一浪目の寮生活や二浪目の一人暮らしである。六年の寮生活で揉まれていたのか、はたまた鈍感になっていたのか、浪人中ほとんど連絡もなければ帰省もしなかった。特筆すべき事があった。一浪目の寮生活で、一人暮らしに馴染めず徒党化した連中に長男が嫌がらせを受けた。寮長や塾の適切な対応もあったが長男は泰然自若としていた。当たり前のことだが、嫌がらせをした方が後に退寮・退塾に追い込まれた。

海陽学園で催された成人式には、どうにかこうにか朗報を届けることが出来た。息子は同級生から、我々夫婦は同期の保護者からお祝いの言葉を多数受けた。現在、長男は公私に渡り学園生活を満喫しているようだ。特に、中等教育時代に身につけた趣味を活かしての交流が多岐に渡っているようだ。学校と塾と自宅を行き来するだけの勉強漬けの六年間、六年間の学園生活および足りなかった学力を補った二年の計八年間、彼の長い人生にはどちらが良かったのだろう、彼が社会人になった時一度じっくり聞いてみたい。 海陽学園を小括することはまだまだ出来ない。

医療用語なのだろうか、僕がよく使う言葉に「日にち薬」がある。「病気や怪我を直すためには薬も大切ですが自己修復能力も大事で、そのためにはある程度の時間も必要ですよ。」と説明している。直すことに焦る患者さんの気持ちを和らげる意味で使っている。長男が浪人していた二年間、海陽学園に対して複雑な思いが交錯していた。けれども今は、自分自身に言い聞かせることが出来るようになった。「この二年間は日にち薬でしたね。」と。

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