院長のコラム

橋杭岩と見附島〜久しぶりの家族旅行二日目〜


八月十一日、あてどのない旅の二日目は、「ワンボックスカーを借りて能登方面に向かう!」とだけざっくり決めた。レンタカー店に置いていた「るるぶ」を借り、リーフレットを幾つかピックアップしてトヨタ・ボクシーで出発した。日本で唯一、砂浜の波打ち際を車で走ることのできる千里浜なぎさドライブウェイ経由で輪島を目指した。千里浜海岸にはおびただしい数の車が停められ、海水浴やバーベキューを皆楽しんでいた。運転手の僕は眼前の光景しか見ることが出来ない。左車窓に流れる海岸が鈍色に映ったのは、僕がいつも太平洋を見ているからだろうか。

再び、高速道路に乗って輪島を目指して直ぐ、長女が突然「輪島で海鮮丼を食べたい!」と言い出した。携帯で人気店をサクサク調べ、電話をかけ「予約できますか?」と尋ねている。「アホちゃうか。お盆の書き入れ時に予約なんて取れるか!」内心叫んでいた。とは言え、その行動力に我が子ながら感心した。あちこち電話をかけたが、案の定断られることしきり。挙句、るるぶに掲載されている海鮮丼を食べたいと、両親が「お盆やからね。」と言い聞かせても主張を曲げない。行くだけ行ってみよう、ということになりその店舗を訪ねた。十一時半前にも関わらず駐車場は満杯。決して大きくない店の前には十人近く待っていた。僕は並ぶことが大嫌いだ。性根が新幹線のぞみ以上に短気なのだ。待ってまで食べるものはない、美味しいに大切なのは、空腹、食する空間、そして食べる仲間だと考えている。しかし、その日は休暇のためか感覚が鈍っていたようだ。「待ってみようか。」と僕、待つこと一時間ほどで写真通りの海鮮丼を食べることができた。「時には待つことも大切だな。」と感じた。

その後は、白米千枚田と見附島を指標に能登半島の海岸線沿いの道を走ることにした。道路標識で景勝地を見つけては車を停めて写真を撮るケセラセラな旅に敢えてしてみた。そうは言っても、一家の主同様せっかちな家族なので、観光名所に停まってはチャッチャと見てハイ終わり、名物料理などに目もくれず次の場所へと移動するだけなのだ。流石に、今まで見たことのない見附島のまさに軍艦が迫ってくるような大迫力の光景に呆然とした。僕の長時間にわたるドライブ休憩も兼ねて、しばし留まることにした。「なぜこんなものが出来たのだろう?」見れば見るほど、自然の神秘や摂理に思いを馳せた。我が地方にも名だたる奇岩・名勝がある。最たるものが串本の橋杭岩である。初めて見た時、日本のモアイ像かと思うくらい衝撃を受けた。けれども何度も見ていると理解出来た、連続性があるのだ。周囲との関係性・関連性に断続がない。見附島はあまりにも唐突過ぎる、突然変異としか言いようがない。NHK番組「ブラタモリ」で成り立ちを教えてもらいたいものである。不思議を心に抱いたまま、次の宿泊地富山を目指した。

 

 

 

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