ランドクルーザー300
2022年初春の院長コラムに、ランボルギーニ・ウルスの後継機にレクサスLXを注文したことを書いた。当時、コロナ禍による半導体と部品不足、ウクライナ戦争、サプライヤー企業に対するサイバー攻撃、地震災害等、納期遅延が問題になっていた。それまでなら発売早々に納車が当たり前。LXの納車は発売から半年後のお盆明けになった。それでも自他ともに認める運の良さだった。LXを注文した頃、兄弟車であるランドクルーザー300の納期が四年と言われていた。「四年後と言ってもキャンセルも出るから三年くらいだろう。ならレクサスLXの乗り換えに丁度いいかも」とその年の春にランクル300の契約も交わした。夏には新規受注が停止され、現在でもその状況は変わっていない。
「来年(2025年)、ランクル300に小変更が加えられます。小変更前のものなら年内に、変更後のものなら来春納車予定ですがどうされますか」昨年末にディーラーから連絡が届いた。車は間に合っていたから、改良後の方がいいに決まっている。「来年でお願いします」と即答した。ランボルギーニとフェラーリでさえ受注から二年以内で納車、予定よりも早くなったとは言え国産車で納期に三年、五月十七日に変更後ランクル300が納車された。乗り換えることになったレクサスRX500HはレクサスLXからの乗り換えだった。歴代のRXを乗り継いできて、デザイン・取り扱い・機動性すべてがうまく調和されているクルマがRX。レクサスLXからRX、からのLXの兄弟車ランクル300。三車の中で車両代が最も安いにも関わらず、乗り込んだ瞬間ニンマリ。目線の高さ・始動時の重厚感・運転中の浮動感が何とも言えず、自分の求めていた最良がそこにあった。
最上級グレードのランクル300ZXに諸々の装備をつけても、兄弟車たるレクサスLXは150%の値付け、もっと言えば四、五百万円の価格差。構造・足回りの強化、内外装の質感、販売店の雰囲気等、価格差は至極当然と評論家連中はのたまう。「ことLXにおいて、レクサスはボッタクリかもしれない」、レクサス開業来二十年何かしらのレクサスを乗り継いできた僕が断言しよう。目に見えないこだわり、感性に響く、ラグジュアリーなムード。主観的・感覚的なものに五百万円も差があるとは思えない。レクサスLXを購入出来るお金があれば、僕ならランクル300とエルメスのバーキンを二個購入する。もちろん定価購入が大前提だが。それくらいランクル300は良かった。逆に言えば、レクサスとトヨタブランドに価格差以上の目に見える差別化がなされていない証左。これはレクサスNXとトヨタ・ハリアー、レクサスLMとトヨタ・アルファードも同様。見た目とレクサスブランドにこだわりがなければ、ハリアーとアルファード・ベルファイアはコスパの良いクルマだと思う。
以上の見解は、あくまでも個人的意見であることを理解いただきたい。レクサス開業以来の付き合い、レクサスRX450hを皮切りにSUV歴十五年の現在の僕の心境。逆に、ランクル300の兄弟車であるランクル250は割高と感じたのも事実。運転免許証を取得して四十年、望外の車歴に感慨深い。