院長のコラム

まさか我が家で全治半年!「驕り高ぶり」が招いた転落事故と、僕が学んだ健康貯金の重要性


あれは昨年のことだ。10月14日月曜日、僕の驕り高ぶりと注意散漫、そして不用心によって、文字通り天罰が下った。「住み慣れた我が家だから大丈夫」という過信は禁物だ。何も考えずいつものように自宅の階段を降りていったが、なぜか本来足を運ぶべき場所に階段がなかった。
「やばい!」と思った瞬間、僕の眼前には我が家の天井が広がり、高さ90センチの空間から真っ逆さまに落ちたのだ。同時に左膝に激痛が走り、身動きが取れなくなった。この間の顛末は昨年の院長コラムにも書いたとおりだ。今回話すのは、不慮の事故に遭遇した一介の医師による、事故後のリアルな「事後報告」である。

負傷直後、左足は全体的に腫れ上がった。特に左膝は、右と比べて優に1.5倍くらいまで膨れ上がっていた。幸い日々快方には向かっていたが、「場合によっては後遺症により、将来的に変形性膝関節症を招くかも」という友人の懸念が僕の頭をよぎった。
彼の勧めで、負傷から約1ヶ月後にMRI検査を行った。結果は、骨折や腱断裂こそなかったものの、関節腔内に貯留液、いわゆる「膝に水がたまる」状態だという。専門医による関節穿刺(水を抜く)も頭をよぎったが、負傷間もないこともあり、経過観察を選択した。その都度、医療費のかかるMRI検査をするわけにもいかない。そこで僕は、自分の腹部超音波機器を利用し、自身の膝関節の貯留液量をモニタリングし続けることにした。

左膝のむくみと症状は徐々に改善していったが、歩行時の痛みと跛行(足を引きずって歩くこと)は数カ月経ってものこった。リハビリを兼ねて週に2回のスイミングを続けたが、平泳ぎのキックが痛むため従来通りにできない。4泳法の中でも、平泳ぎのキックは、屈曲・外旋(M字に開く)・内転(蹴り出し)と特殊で複雑だ。
事情を知っているプールの常連さんからは、屈曲しかできない僕を見て「まだまだ本調子ではないですね」と声をかけられる始末だった。僕は内心、「まさか、このまま後遺症がのこり、水泳ができなくなるのでは」と深く危惧していた。

負傷から半年くらい経った頃だろうか。左膝の違和感は残るものの、歩行時の痛みを意識しなくなった。正座もできるようになった。そして今回、真に「治癒したかも」と実感できたのは、あの平泳ぎの複雑なキックに何の抵抗も感じなくなった瞬間である。
あれから早くも1年が経った。振り返れば全治半年の重大事故だった。当時、「今回の出来事は僕の驕り高ぶりへの神様からの啓示だ」と自分を戒め、周囲に心配されないよう回復途上を強調していた。しかし、本音では「このままでは傷痕を残し、将来サルコペニアになるのでは」という不安が、専門家として拭えなかったのも事実だ。

だが、僕は今こうして、事故前と同じ調子で生きながらえている。通常なら休診せざるを得ない状況にも関わらず、患者さんに迷惑をかけることはなかった。今、健康でいられることの有り難みを痛切に感じている。
そして同時に、僕が日頃提唱する「健康貯金」――適度な有酸素運動と「ながら」筋力トレーニングは、決して間違っていなかったと確信している。この経験を経て、僕は日々の積み重ねの重要性を改めて決意した。

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