院長のコラム

般若心経とヒップホップ――理性の装甲が剥がれ落ちた「浄化」の夜:Creepy Nutsライブ体験記第三話

開演予定時刻を15分過ぎたその時、静寂は切り裂かれた。大阪城ホールという巨大な箱に、彼ら二人が姿を現した瞬間、一万人の熱狂が総立ちとなって爆発した。増幅された言葉と重低音のビート。それは、多忙な日常の澱(おり)、日々向き合う人間関係の軋轢、そして社会の不条理……僕の心の深層にこびり付いていた鬱屈を、一気に、そして暴力的なまでに吹き飛ばした。会場に集まった一万人の心が同時にスパークする。この感覚は、理屈ではない。細胞が直接震えているのだ。

【正解のないリズム、委ねる勇気】
Creepy Nutsの楽曲は、R-指定が紡ぐ言葉にDJ松永が音を当てる「詞先」だという。独特のリリック(歌詞)とライム(韻踏み)、そして変幻自在のフロウ(歌い回し)。正直に言えば、初めて聴く曲ばかりの僕は、どうリズムを取ればいいのか戸惑っていた。周囲を見渡して「正解」を探そうとする自分がいる。だが、そこに正解などなかった。
そんな僕の「迷い」を見透かしたかのように、R-指定が叫んだ。「周りを気にせず、自分の気持ちに従って楽しめ!」「歌って踊って、手を叩いて、そして飛び跳ねろ!」
それは、普段「理性」と「理論」という分厚い白衣をまとい、ガチガチに固まった僕の心の装甲を緩め、「自由になれ」という福音だった。この年齢になって、これほどまでに内なる衝動を掻き立てられるとは、想像だにしていなかった。

ヒップホップの激しいビートの先に、僕が見たのは「般若心経」の世界だった。言葉が意味を捨て、純粋なエネルギーとして身体を突き抜けていく瞬間。理性の装甲が剥がれ落ちた先に待っていた、魂の「浄化(カタルシス)」の正体とは――。つづきはnoteへ。https://note.com/hazremon/m/mddd09eec1541

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