定宿リッツ・カールトン大阪からの「乗り換え」はあるか?:ウォルドーフ・アストリア大阪体験記(最終)
この年齢になって、ようやく自分の体調というものが分かってきた。明け方に有痛性筋痙攣(ゆうつうせいきんけいれん)が起こった。医学的にはありふれた現象だが、僕にとってはすなわち昨晩の「飲み過ぎ」を意味する。加えて、アルコールを希釈するために必要な水分摂取を怠ったことが決定的な原因だろう。
かつて、まったく同様の状況を経験したことがある。「せっかくのホテルライフを満喫しないのはもったいない」という短絡的な判断のもと、早朝にプールで泳いだところ、水泳中にも激しい「こむら返り」が起こり、本当に溺れそうになった。それ以来、こむら返りは僕にとって「身体からのやばい兆候」であり、休息を命じる絶対的なサインなのだ。当然、今回のプール利用は断念せざるを得なかった。
プールを諦め、8時半過ぎに昨晩のディナー会場でもあった「JOLIE BRASSERIE」へ向かった。驚いたのは、朝食会場への長い行列だ。しかし、もっとびっくりしたのは、その行列に並んでいる日本人が僕たちだけで、「ここは日本なのか?」と錯覚するほどの国際色豊かな状況だったことだ。
期待していたホテルの朝食は、率直に言ってラグジュアリーホテルとして相応のレベルだという感想に尽きる。これは決して平凡だという意味ではない。むしろ、どの料理も細部にまで気を配られた高いレベルで提供されているため、一概に優劣を比較検討することが難しいということを意味している。つまり、「美味しい」の基準を軽々と満たしているということだ。
ここで、ウォルドーフ・アストリア大阪に対する僕の私見を述べる。これはあくまで個人的見解であり、ホテルを非難・中傷する意図は毛頭ないことを理解いただきたい。
これまで大阪市内で宿泊したことのあるホテルは、インターコンチネンタル、リッツ・カールトン、新装されたリーガロイヤル、コンラッド、大阪マリオット都ホテル、スイスホテル南海、ホテル阪急インターナショナル、帝国ホテル、ヒルトン大阪、そして今回経験したウォルドーフ・アストリアと枚挙にいとまがない。
僕が田辺からこれらのホテルに宿泊する場合、自家用車は欠かせない移動手段となる。全長5m、全幅2m近い大型SUV、もしくはフェラーリ・ローマといった愛車で訪れる場合、安全かつ安心な駐車スペースの確保が極めて重要になる。
そう考えると、バレーサービス(車の入出庫をホテルスタッフが行うサービス)の有無は、僕にとって最優先事項となる。しかし、バレーサービスを提供するホテルは案外少なく、過去にインターコンチネンタルで20分以上待たされて以来、同ホテルを再選択することはなくなった経緯がある。したがって、近頃はサービスに安定感のあるリッツ・カールトンが事実上の定宿になっていた。
これまでに数多くのホテルの高層階から夜景を眺めてきたが、ウォルドーフ・アストリア大阪のそれは、それらとは一線を画すスケール感と洗練された美しさを兼ね備えていた。
このホテルは、リッツ・カールトンの持つクラシカルな重厚感と、インターコンチネンタルやコンラッドのような現代的な洗練さを巧みに融合させ、凝縮したかのように感じられた。何より、同格のホテルと比較してもコストパフォーマンスがいいのだ。
今回は体調不良でプールを利用できなかったこともあり、そのリベンジを兼ねて必ず再訪したいと思わせるホテル、それがウォルドーフ・アストリア大阪だった。次回は、この新しいホテルで一体何を体験できるのだろうか。今から非常に楽しみだ。(この章おわり)






