院長のコラム

同窓会は、人生の『転』機 〜川崎医科大学同窓会(2)〜

時は8月30日土曜日、場所はグランヴィアホテル岡山。通常なら、予約内視鏡検査がぎっしり詰まっている診療日だ。だが、紀伊田辺から岡山まで新大阪経由で約3時間半かかるし、大腸検査が長引けば受付開始時間の6時半に間に合わない可能性がある。仲間から遅れて会場に駆けつけるのは、どうしても避けたかった。
「このチャンスを逃すわけにはいかない」そう心に決め、5ヶ月以上も前からホテルの部屋を押さえ、診療日を前の週にずらして、当日は思い切って休診日にした。この同窓会にかける、まさに不退転の決意だった。

当日、僕はホテルに余裕を持ってチェックインし、受付開始までの2時間を使って、岡山天満屋近くにオープンしたばかりのショップに表敬訪問をした(ここで思いがけない出来事があり、それはまた次回に報告を)。
用事を済ませてホテルに帰ってきたら、折々にLINEで連絡を取り合っているM先生から「もうホテルに着いた?」と連絡が届いていた。そこで、ホテルロビーの喫茶店で待ち合わせることにした。そこには、卒業以来まったく音信不通だったN先生もいて、「どこの宗教家かと思ったよ」が、彼の僕に対する第一声。思わず苦笑いがこぼれた。「あんた、全然変わってへんやないか」。名刺交換をしようとしたところで、うっかり名刺入れを忘れてきたことに気づき、慌てて部屋に取りに戻った。
帰りのエレベーターで乗り合わせたのは、一目でマダムとわかる上品な女性。彼女が僕の顔をじっと見て、「ひょっとして長嶋くん?」と声をかけてくれた。旧姓Sさんという彼女の問いかけに頷くと、「玉置浩二みたいになって」という言葉が続いた。どうやら僕の風貌がそう見えたらしい。受付開始前に同級生とこんな形で再会できたことに、この同窓会は「つかみはOK」だと確信した。

午後6時半、いよいよ宴会場の前に立った。案の定、僕の姿に戸惑いを隠せない様子の人々のひそひそ話が耳に届く。「あれ、誰や?」「いや、長嶋やろ」。新興宗教の教祖のような、あるいは玉置浩二のような風貌が、彼らにはそう映ったらしい。
しかし、そんな戸惑いもすぐに打ち破られた。僕の顔に微かに残る昔の面影を見つけたのだろう。「長嶋、どうしたんな?」「お前、ミュージシャンみたいやな」と、あっという間に敬称抜きの呼び捨てで呼び合う、あの頃の関係に戻っていった。参加人数は60名前後、同期の半数にあたる卒業生が集っていた。

宴会は、当初抱いていた「溶け込めるだろうか」「馴染めるだろうか」といった杞憂が、まるで意味をなさないほど濃密な時間だった。溶け込むとか馴染むとか、そんなことはどうでもよかった。ただただ、30数年ぶりに再会した同級生と、少しでも、一人でも多く話したいという気持ちが逸った。僕はグラスを片手に、あちこちのテーブルをさまよった。(後編につづく)

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