OFFICIAL HIGE DANDISM LIVE AT STADIUM 2025（前編）

大阪市にはキタとミナミの二つのエリアがあり、キタは梅田、ミナミは心斎橋・難波が中心地。我が家の買い物や宿泊と言えばキタがメインで、ミナミに行くことはまずない。ヤンマースタジアム長居に近い主要駅と言えば天王寺。ミナミより更に南にあり、長女が予備校生以来訪ねることはなくなった。ヤンマースタジアム長居は、特急「くろしお」に乗車した際に車窓から眺める程度。そこでヒゲダン初のスタジアムツアーにして、デビュー十周年のメモリアルライブが開催される。スタジアムへの移動やコンサート終了後を考慮して、宿泊先は奮発してあべのハルカスの高層階にある大阪マリオット都ホテルをチョイスした。ちなみに、五月十七日、十八日は京セラドームでサザンオールスターズのコンサートも催されていて、大阪はヒゲダン、サザン、万博とお祭り騒ぎだった模様。

週間予報では五月十七日は雨模様のため事前に簡易のレインコートを購入。当日も怪しい雲行きに服装を迷い、いつもなら着飾るところ防水性の高いアディダスのセットアップにした。大阪マリオット都ホテルに三時過ぎに到着しチェックインしようとしたが、コンサート目的の家族連れと夫婦（Tシャツを着ているから一目瞭然）、それ以外の日本人にアジア人と欧米人を含めた長い行列が出来ていて、チェックインを済ませるのに四十分以上かかった。天王寺駅からヤンマースタジアム長居の最寄り駅までJR阪和線もしくは地下鉄御堂筋線で十分もかからない。通常通りに行けばいいのだが、我々家族には障害を引き起こす障害ある三男が最大の関門。

案の定、ホテルにチェックインしTVをつけたら大相撲五月場所が開催されていて、いざスタジアムを目指し部屋を出ようとしたら相撲好きの三男は座り込みモードに入ってしまった。こうなれば収集が全くつかなくなる。部屋からのエレベーター前、ホテルロビー、ロビーから階下のエレベーター前、そしてエレベーター内で、両耳をふさぎ座り込む奇妙な青年、彼に怒声を浴びせる僕、慌てふためく妻、一種異様な家族の光景を周囲は怪訝そうに見る。いつも繰り広げられるシーンに、イベントやコンサートに連れて行くのを毎回躊躇する。コンサートが終われば「喉元過ぎれば熱さ忘れる」で、ぐずったのが嘘のように無邪気な笑顔で音声読み上げアプリで「ごめんなさい」を繰り返す太陽。「連れてくるんじゃなかった」と「連れて来て良かった」の葛藤をいつも繰り広げている。

結局、会場にタクシーで向かった。車窓から見るイメージと異なり、ヤンマースタジアム長居の規模の大きさに圧倒された。天気はまだまだ怪しい曇り模様。