「玉置浩二」の帰還──6億の負債を背負った男の、35年目の同窓会
以前、院長コラムに書いた、『僕の「黒歴史」、35年ぶりの同窓会』。今回は、心の暗闇に焦点をあてnote用に改変しました。
【過去の呪縛】
僕は昭和60年(1985年)、川崎医科大学医学部に入学した。
当時の僕は、医学への純粋な探求心よりも、国公立に落ち、不本意ながら私立医大のキャンパスに滑り込んだという忸怩たる思いが強かった。
そこには、親の莫大な資産を背景に、合格の二文字に無邪気に浮かれる同級生たちがいた。「国公立にも行けなかった分際で、何をヘラヘラと勝ち組気取りでいるのか」。当時の僕は、己の不甲斐なさを棚に上げ、周囲のすべてを激しく見下していた。
鼻持ちならない自尊心と、肥大化した悪魔の自意識。そんな人間が、他人と試験勉強のグループを組めるはずもなく、一人孤立を深めていった。それは、すべて僕自身が招いた、どうしようもなく居心地の悪い大学生活だった。
真の意味で友と呼べる同級生は一人もいなかった。その苦い経験から、僕は卒業後、母校からできるだけ遠く離れた北海道へ進路を求めた。
医師になって以降、同級生と交わることはほとんどなく、唯一、鹿児島出身のM君が北海道出身の同級生と、道内で結婚式を挙げた際に招待されたくらいだ。
結婚式場で久しぶりに会う同級生たちは、皆明るく、楽しそうに笑っていた。彼らの輪の中にいても、決して居心地は悪くなかった。
しかし、昔話に花を咲かせるたびに、僕の胸には言いようのない距離感と違和感が広がっていった。彼らと共有できる思い出や時間が、僕にはなかったからだ。
その場にいるのに、まるで映画を見ている観客のような感覚に陥った。以降、連絡を取り合う同級生は片手に数えるほど。医学生時代は、僕にとって完全に封印した「黒歴史」だった。
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