敗北と奇跡のあいだで――ウザ・エッセイスト誕生(1)
【戦術なき無謀と、5戦3敗の惨状】
昨年末、自叙伝の執筆という熱病を抜け出たそのままの勢いに任せ、年末から今年3月末にかけて怒涛の勢いで5つの文芸コンテストへ原稿を叩き付けた。詳細は以前の「院長コラム」に記した通りである。
コンテストごとの傾向や歴史、過去の受賞作など一切吟味せず、ただ締め切りと文字数、そして「テーマ自由」の文字だけを頼りに挑んだ。提出した原稿はいずれも自分なりの矜持を込めた自信作だったが、結果は5戦中3敗。入賞のかすり傷すら負わせることができなかった。
「敗戦の将、兵を語る」――いや、語らないと収まりがつかない。
いつか筆を執る機会があれば詳細な敗戦記をしたためたいが、一言で言えば「戦術なき無謀」であった。異種格闘技のつもりが、ボクシングのリングだったり、相撲の土俵だったり、闘うべき場所の性質も、対峙する相手の姿も何一つ見えていなかったのだから当然である。
「(僕は)やればできる子だった!」
自伝を著したという一時の全能感に酔いしれ、文芸界の右も左も知らぬまま、文章の巧拙すら弁えず殴り込みをかけた。「院長コラム」という偏狭な井戸の底で文章を書き殴ってきた蛙が、「いきなり!ステーキ」ならぬ「いきなり!文芸コンテスト」という大海に突撃した格好である。
「知らぬが仏」とはよく言ったものだが、「俺の文章には読む価値があるはずだ」と疑わない肥大化した自尊心。還暦を過ぎてなおこの猪突猛進ぶりである。
痛い。痛すぎる。知人から、こんな「重症な勘違い患者(自分)」と食事をセッティングされたら、会席後、紹介してくれた知人に苦笑いしながら「あなたとは絶交ね」と言いたくなるレベルだ。
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