院長のコラム

「やればできる」のその先には〜作家のようなもの(後編)〜


今年の5月末に提出した9万字の原稿。僕としては、これで3分の2は完成したと考えていた。しかし、1ヶ月ほど経って編集者から届いたのは、「編集提案書」という名の、僕の甘い考えを打ち砕くものだった。
A4用紙で23ページにも及ぶ提案書には、僕の原稿に対する詳細なフィードバックが3つに分けて記されていた。僕が考えもしなかった改善点の数々に、思わず息をのんだ。

まず1つ目は、構成上の改善だ。僕の文章は、経歴と趣味の記述がごちゃ混ぜになっており、読者にとってわかりにくいという指摘だった。
次に2つ目は、内容上の改善。より多くの人に読んでもらうためには、内容をさらに充実させる必要がある。特に、僕が伝えたいこと、僕の想いが読者に伝わるよう、1万字の加筆が求められた。
そして3つ目は、文章表現上の改善。改行の仕方や数字の統一、固有名詞の訂正など、細部にわたる指摘がびっしりと書かれていた。僕が書いた原稿は、あくまで素人が書いた荒削りなもの。プロの視点から見れば、修正すべき点は山ほどあり、それはまだ序章に過ぎなかったのだ。

これらの訂正・修正を、7月末までに終えることを求められた。元来、僕は物書きではなく、ただの町医者だ。このような作業には慣れていない。正直、かなり手こずった。7月末の締め切りは厳しいと感じ、編集者に相談したところ、お盆明けまで提出期限を延長してもらうことができた。
しかし、一度書き始めると、不思議と波に乗ることができた。勢いづいて、お盆前の8月6日には再提出を済ませた。現在、僕の原稿は編集者の手元にある。最初の原稿よりも、格段に良くなったと自負している。プロの編集者にかかれば、さらに素晴らしい本になるだろう。

とは言え、料理と同じで、素材が良くなければ、どんなに腕の良い料理人でも苦戦する。題材や内容という「素材」が良くなければ、編集者も「料理」のしようがない。僕の書いた「素材」が、プロの編集者によって、どのような「料理」に仕上げられるのか。出来上がった料理が、読者にとって、どんな味になるのだろうか。あなたの心の栄養素となるだろうか。
今は、どんな本に仕上がるのかというワクワク感と、より多くの人に届くことへの期待感。そして、内容が受け入れられるかという懸念と、自身の人生が丸裸にされることへの不安感。期待と不安が交錯する、待ちの時期だ。来年2月19日の出版日まで、もう半年を切っている。

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