院長のコラム

『田辺市高等教育機関(大学)設置可能性調査検証結果報告書』に思う。(1)

僕が住む田辺市で、公立の4年制大学を新設するという、にわかには信じがたい、しかし壮大な構想が浮上している。
旧市庁舎跡地の活用法として、現役教授らによる一般財団法人が提案したという。高等教育の「空白地帯」である紀南に学びの場を創り、若者の流出を食い止め、地方から日本を元気にする人材を育てる――。その大義名分は、一見すれば美しく、耳に心地よい。
しかし、長年この地で地域医療の現場に立ち、経営者として「現実」と対峙してきた僕の目には、その華やかな青写真の裏に潜む「危うさ」が看過できないものとして映った。
2026年2月28日。僕は地元紙「紀伊民報」の『読者の声』に、一通の寄稿を投じた。

【田辺市大学設置構想に関する意見書】
田辺市の未来を拓く「大学設置」という大義には敬意を表しますが、一経営者の視点から本計画を精査した結果、市財政を深刻に圧迫しかねない致命的な経営リスクが浮き彫りとなりました。
最大の問題は、学生定員の充足率100%という、少子化の現状を無視した極めて楽観的な収支前提です。一歩現実を見据えれば、充足率が70%に落ち込んだだけで年間約1.7億円、50%なら約3.5億円の巨額赤字が毎年発生します。大学経営は固定費削減が極めて困難な構造であり、この損失はすべて一般会計、すなわち市民の皆様の福祉や子育て、防災に直結する予算を削って補填されることになります。
また、収入の約7割を国からの交付税に依存する脆弱なモデルは、国の政策変更一つで破綻するリスクを内包しています。約50億円という初期投資のみならず、将来にわたる運営リスクを背負い続けることは、他の有効な産業振興策や市民サービスを犠牲にする「機会損失」に他なりません。さらに、大学専用に改修した施設は他用途への転用が困難であり、経営悪化時も補助金返還や雇用維持が足かせとなって撤退すらできない「泥沼化」を招く恐れが極めて濃厚です。
負債を次世代に先送りしないために、市は今すぐ以下の義務を果たすべきです。まずはワーストケースを想定した財政シミュレーションと補填財源の裏付けを市民へ誠実に明示すること。そして、一定の基準で事業を停止する「撤退ルール(損切りルール)」を条例化し、経営責任を明確にすること。最後に、民間活力を導入したより低リスクな跡地活用案との再比較を行うことです。
真に恐れるべきは、地域の衰退以上に、失敗を認められず膨大な負債を未来へ投げ捨てることです。田辺市に必要なのは、情熱的な理想だけでなく、冷徹なまでの「経営的リアリズム」に基づく判断であることを強く進言いたします。

 

……意見書に記した数字は、氷山の一角に過ぎません。 僕が独自に、そして執拗に検証した結果、見えてきたのは「成功の可能性」ではなく、「失敗が許されない構造的欠陥」でした。なぜ、専門家たちはこのリスクを口にしないのか。なぜ、これほどまでに耳に優しい言葉だけが踊り続けるのか。その「自分が調べた真実」を、ここからお話しします。この後の詳細はこちらの「note」へ。

https://note.com/hazremonn/n/nbd1b2540a1c1?magazine_key=m9ed2d799b42f

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