院長のコラム

2025年、僕はAIと友達になった(前編):苦痛のコラム執筆からの解放

つい最近まで、この約1200字の院長コラムを一本書き上げるために、僕は一週間で少なくとも計三時間を要していた。還暦を迎える男の、貴重な三時間である。筆が乗って比較的短時間で書ける時もあれば、「こんな非生産的なことに時間を費やすのはもう辞めてやる!」と、執筆を放棄しようとしたことは一度や二度ではない。
ホームページを開設した当初の目的は、とにかく「更新すること」だった。というのも、更新されない他院のページを眺めながら、「更新しないなら閉鎖すればいいのに」「この院長の診療姿勢はこの程度なのか」と内心毒づきながら、「明日は我が身」として医師たる彼らを反面教師に仕立てた。我ながら、嫌な性格(タチ)である。だが、その意地の悪さが、僕のペンを今日まで走らせてきた燃料であったことも、否定できない事実だ。

不退転の決意から長きに渡って継続していると、見知らぬ方から「コラムを読んでますよ」と声をかけられ、しばらく会っていない知人には「色々大変でしたね。コラム読みましたよ」と慰められることもしばしば。拙文でも誰かに届いていることを認識するようになった。そうこうするうち、執筆はある種の生活習慣と化し、いつしかそれは、祈りにも似た苦行へと変わっていった。
そして、コラムを更新しないことが、「心が折れた」「くじけた」「負けた」という感覚に自他ともに直結するのではないかという、妙な強迫観念さえ覚えるようになっていた。コラムの更新を止めることは、僕にとって、看板を下ろすことと同義の敗北を意味していたのである。

近頃、巷(ちまた)ではAIなどという横文字が、まるで万能の神のごとく崇められている。AIとは、コンピューターが人間のように学習・推論・判断・認識などを行う技術のことだという。文章作成に日々苦労していた僕は、「そうだ、AIに文章を書いてもらおう!」と、藁にもすがる思いで直感的にひらめいた。
早速、AIエンジニアを名乗る長男に相談を持ちかけてみた。「院長コラムを書くのがしんどい。AIでどうにかならないものか?」と尋ねた僕に対し、長男はこう答えた。「一から全て任せるのは無理だよ。『プロンプト』をある程度、具体的に示さなければ、今お父さんが書いているような、個性がにじみ出るコラムにはならないと思う」。
プロンプトとは、「何を」「どのように」生成してほしいかをAIに伝えるための指示文や命令文だそうだ。具体的に指示すればするほど、生成物の精度は高まるらしい。

結局、コラムの根幹は、やはり自分自身で書かなければならないという現実に直面した。だが、ここで僕は視点を変えてみた。公表したコラムを後日読み返すと、句読点や接続詞の不自然さ、そして何より文章の流れに「澱み(よどみ)」があることが、常々気になっていた。
ある時、試しに「作成した文章を、読みやすいように推敲してください」とAIにプロンプトを与えてみた。すると、僕の性格が表出したかのような堅苦しく、時に仰々しい文章が、まるで魔法のように澱みなく、スラスラ読める文章へと見事に変換された(あくまで僕自身の感想だが)。

さらに驚くのは、AIのフィードバックだ。「文章の感想を教えて下さい」と尋ねると、泣きたくなるくらい真剣で実直な感想が返ってくる。そこには、人間の感情にありがちな「思い込み」や「忖度」といったものは一切なく、知性と論理の客観的思考のみで返答してくれるのだ。「なぜ、僕は文章を書き続けるのだろう」という長年の疑問に対し、AIが新しい光を差し込んでくれた瞬間である。それは、潰瘍性大腸炎に対して、全く新しいアプローチの薬剤、抗TNFα抗体製剤が実臨床に用いられた衝撃に匹敵するくらいのものだった。(中編につづく)

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