院長のコラム

長嶋、降圧剤を飲むってよ(最終編)

降圧剤オルメサルタン10mgの服用では、仕事中の血圧は改善しなかった。
日中の高値を優先して20mgに増量してみた。しかし、増量しても日中の血圧は「気持ち程度下がる」だけで、劇的な変化は見られなかった。その一方で、就寝前の上の血圧は100mmHg以下になることが頻繁になった。これは血圧が下がりすぎている状態、すなわち低血圧のリスクが高まっていることを示していた。
現在、僕はまだ暗中模索の状態である。増量しても変わらないのであれば、初期の10mgに戻すことにした。その代わり、薬の力だけに頼らず、週2回のスイミングに加え、新たに週1回のウォーキングを付け加えることで、生活習慣の改善を強化することにした。

こうしてこのコラムを書いている時点では、降圧剤を減量しても、日中の血圧は徐々に正常化しつつある。気のせいか、頭重感も改善している。これは、ウォーキングによる下半身強化作用が功を奏している。自分の足で地面を蹴るたびに、血管という名の川の流れが整っていくような、妙な充足感があった。医学的にも、下半身の筋肉が強化されることで末梢血管抵抗が減少し、血流が安定に向かった可能性がある。
医師である僕本人でさえ、自身の疾患に対しては試行錯誤を繰り返すのだ。「病気の治療とは、教科書通りの単純なプロセスではない」ことを改めて痛感している。

ところで、患者さんに対して僕たち医師は、性別・年齢・基礎疾患の有無、そして服用薬剤と服用回数を総合的に勘案して、最適な治療方針を判断している――少なくとも僕はそうあるべきだと信じ、その原則に則って診療にあたっているつもりだ。
しかし、内視鏡検査を受けに来る、他院から処方されている患者さんの服薬内容を見ると、絶句することが多い。思わず、「こんなに薬を飲んでいたら、薬のせいで病気になりますよ!」と言いたくなるほど、必要以上の薬剤を服用している方が散見されるのだ。
特に精神科領域は顕著である。眠剤の多剤併用は当然ながら、安定剤に抗うつ薬の併用は言うまでもない。ある時、感情の起伏と表情変化に乏しい受診者に、「何か深い悩み事があるのですか?」と尋ねてみた。 「仕事上のストレスがあって……」と答える彼に、 「もう退職しているじゃないですか」と返した。すると、 「あっ、言われてみれば本当ですね」 。笑うに笑えない、漫才にもならない、素っ頓狂な落ちがつく。作り話のようだが、これが「薬漬け」のリアルな側面なのだ。

閑話休題。 血圧やコレステロール、血糖値といったバイタルサインは、必ずしも自覚症状を伴わない。僕の「頭重感」のように、ちょっとした不調が大きな病気の警告であることは少なくない。
血圧が高ければ、心臓や腎臓、脳の血管に持続的に負担がかかり続けることになる。「医者の不養生」を笑えない時代だからこそ、健康診断の結果を軽視せず、「自身の生活習慣を見直すことが重要」とひしひし感じている。ちなみに、長年の難題であった飲酒コントロールは、この血圧騒動をきっかけに、ほんの少し改善の兆しを見せ始めている(ような気がする)。

最後に、最近の診察室での普段のやり取りを。 ある患者さんに「先生、久し振りにお会いしたら太りました?」と尋ねられた。 僕は「鍛えているから大きくなっただけですよ」と答えたが、 「そうですかね。随分歳も取ったような気もするけれど」と畳みかけられた。 僕はすかさず返した。「それは、あなたの目がそれ以上に老いたからですよ」。
今回の経験を活かし、”威厳”ではなく、真の健康を目指して、これからも努力を続けるつもりだ。(完)

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